偉関の言葉にあるように、フォアサービスを主体としていた選手、特にサービスそのもので相手のレシーブを崩して速攻に持ち込んでいた選手は苦しいだろう。
フォアサービスの場合、フリーハンドを三角形の中から「よける」という動きが必要になるため、3球目攻撃に備える際のリズムが狂いやすいからだ(写真上は金擇洙のフォアサービス)。
一方、バックサービスの場合、構えの時点ですでにフリーハンドが三角形の中から外れているため、自然な動きの中でサービスを出すことができる(写真下は佐藤利明のバックサービス)。
さらに、今回の改正において、「ラケットは卓球台の表面より上に保たなければならない」という項目が削除された(詳しくはルール比較表を参照)ことで、ラケットを卓球台の下に構えてバックスイングができるようになる。特に、窮屈な構えを強いられていたペンホルダー選手にとっては、かなりの朗報であろう。
かつて活躍した日本のペンホルダー選手の大半は、バックサービスを武器としていた。私の記憶の映像なので不確かな部分はあるが、それらのほとんどは新ルールでも違反にならないはずである。
特に、いま日本ナショナルチームを率いている宮崎義仁監督はバックサービスのアップダウンの名手として世界の強豪たちを震撼させ、1985年の世界選手権イエテボリ大会では、団体で銅メダル、シングルスでベスト8という実績をお持ちの方である。
日本卓球協会は速やかに宮崎監督の「バックサービス講習会」なり、「解説ビデオ」なりの企画を立て、実行するべきだと考えているのは、私だけだろうか。