テニス/テニス関連情報

テニス界の先駆者 辻野隆三選手に単独取材(2ページ目)

松岡修造選手とともに日本テニス界を支えてきた辻野隆三選手。最近はインターネットを通じて様々な情報を発信しているという辻野選手にインタビューを敢行。

執筆者:伊藤 一幸

テニスを始めたきっかけは?

辻野隆三選手が立ち上げたMIRAI TENNIS ACADEMY
小学校の3年生までは野球少年だった。たまたまつけたテレビで放映されていたウィンブルドンの男子決勝で、B・ボルグの優勝を目の当たりにして「これだっ!」と閃き、グローブを置き、バットをラケットに握り替え、テニススクールの門をくぐったのが第一歩だった。

年齢に制限されないこと、プロと同じ道具を使ってプレイができるところに魅力を感じて、それ以来、テニス一筋の人生になった。初めてボールを打ったときは、実は「すごい、楽だ!」というのが最初に印象だった。というのも、野球はノーバウンドで取らなければアウトにならないけれど、テニスはワンバウンドまで許されていている。さらに野球の場合グラウンドは広いけれど、テニスコートはその何分の一かの大きさなので、まだ子供だった自分は「テニスってラクチンだ!」と思ったのだろう。

現役時代、一番印象に残っている試合

記憶に残る辻野隆三の試合といえば、セイコースーパーテニスでの大接戦を演じたB・ベッカー戦を挙げる人がいるが、実はその試合「ゾーン」に入っていたので殆ど試合中の記憶がない。

体が勝手に動いて、コートを走ってボールを追いかけ、ラケットを振っていていた。ちょうど、アメリカから帰国したばかりで、日本でプロ選手としてスタートを切った試合なので、思い入れのある試合ではある。選手としてツアーを回っていたときの試合を思い出そうとすればするほど、脳裏に浮かぶのは、勝った試合や調子の良かったときの試合ではない。

「なんであのとき、無理をしたんだろう!」
「あの1本をミスしたばっかりに……」

とリアルにその場面や心情が浮かび、苦しんで苦しんで戦い抜いた試合や、ものすごく悔しい思いをした試合ばかりが頭をよぎる。だから、一番印象に残っている特定の試合というのはない。

質問の趣旨とは少し外れてしまうかもしれないが、他のトーナメントとは異質の重圧を感じ、特別な思い入れのある試合がある。それがデビスカップだ。一人の選手としてツアーを回っているときとは異なり「国」を背負って戦うので、そのプレッシャーたるは想像をはるかに超えている。

日本テニス界代表であること。多くのスタッフとチームメイトに支えられ試合にするという、デビスカップに「出場する意味」を理解していなければ、雰囲気とプレッシャーにのまれてしまう。

将来が楽しみなジュニア選手

ずばり、錦織圭。この前開催されていた全仏オープンジュニアでダブルスで優勝し一躍脚光を浴びたが、彼の運動能力の高さも志の高さも折り紙つきで、その潜在能力は計り知れない。

現在はアメリカに拠点を移し世界のトップを目指し、テニス漬けの毎日を過ごしている。彼の場合、ランキングで100位に入るかどうかというレベルではなく、グランドスラムでどこまで勝ち上がることができるかというレベルである。

うまくジュニア時代を通過してシニアの舞台で活躍してほしい。とにかく大いに期待している。

どうして日本男子は世界レベルで活躍できる選手がいない?

確かに今の日本テニス界で世界を舞台に活躍しているのは女子だけだ。女子の場合、ジュニアからシニア(プロ)へと移行が比較的スムースに行えるのでチャンスが広がるという理由もあるが、とかく女子の方が「積極的」である。

その積極性が世界という舞台に上がる原動力になっているのは間違いない。その積極性が男子に備われば世界への扉は自ずから開かれてくる。

最後にテニスファンに一言

最初が肝心なので、これからテニスを始める人、またテニスを始めたばかりの人は、スクールなどでしっかりと基礎を教えてもらうのが大事。

テニスは生涯スポーツなので年齢を気にせずできるスポーツなので、是非とも楽しいテニスライフを送ってもらいたい。

<関連リンク>
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