ゴルフが嫌われる歴史的背景
『ゴルフ場は自然がいっぱい』では、ゴルフが嫌われた歴史的背景について紹介されます。その中では、まずゴルフ場批判の太い根っこは、1970年代の第二次ゴルフブームにあるとしています。田中角栄内閣の「日本列島改造論」によっておきた開発ブームに後押しされ、ゴルフ場乱開発が始まった時代。当時はまだ、広範囲の森林開発を規制する法律もなく、芝生の維持管理手法も確立されていなかったこともあり、土砂崩れや河川の汚染、農薬の大量散布などが行われていました。荒っぽい工事で、古墳などの文化財を破壊するトラブルもあったといいます。
当時は、全国で1000コースにも満たなかったのですが(現在は、2400コース程度)、この時代に生まれた反ゴルフの感情を今も引きづっているのでは、と著者は言います。
バブル期に行われた、投機目的での会員権売買やゴルフ場乱開発は、そうした反ゴルフ感情を決定的にしたと言えそうです。ガイドも記憶にありますが、本来、ゴルフプレーをする権利であるはずの会員権が、数千万円から億を超える額がつき、それを投資家はもちろん、サラリーマンまでが買い、社会現象として大きく取り上げられました。中でも、会員権の乱売は最悪で、高額な預託金だけを集め、実際にはゴルフ場が作られなかった詐欺行為が頻発しました。
バブル時代は、プレー人口が大きく増え、ゴルフは大衆化。しかし、バブル崩壊とともに、こうした金にまつわる悪い話が次々表沙汰になり、ゴルフへの印象が悪くなっていったのは、無理もないことだと思います。
本書では、このお金の問題は、あまり取り上げられません。これらの問題が基本的に犯罪行為であり、厳正に処罰するべきもの。また、今後ゴルフ場開発の計画は数えるほどしかなく、巨額のお金が動く可能性が低いことを理由にあげています。
ガイドの周りにも、預託金詐欺で大金を失った人が何人もいます。自己責任といえばそれまでですが、こうした犯罪行為の舞台になったゴルフというスポーツは、悪感情をバブル期のある種の負の遺産として今も抱えていると言えます。これらは、現在ゴルフに関わっている人々が、現在の健全さを広くアピールしていく必要があるでしょう。