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大岡昇平『アマチュアゴルフ』を読む(2ページ目)

『俘虜記』『レイテ戦記』などの大作で知られる作家、大岡昇平は熱狂的ゴルファーでもありました。その大岡昇平がハンディキャップ22でありながら世に問うたゴルフレッスン本『アマチュアゴルフ』を紹介します。

児山 和弘

執筆者:児山 和弘

ゴルフガイド

常識と考えられているセオリーを自ら検証

先日公開された映画『明日への遺言』の原作『ながい旅』
大岡は『アマチュアゴルフ』に関して、「基本の本は読んでいる方のための、副読本のつもりで書いた」といっています。実際に本の中身も、スイングやテクニックの常識と考えられているセオリーを自ら検証するような内容になっています。

既に出版から46年が経過した現代においても十分通用する内容が含まれています。第一章の冒頭で、「ゴルフがうまくなるために、欠くべからざる条件」として「プロにつくこと」と言っているのは至言です。多くのレッスン本のように、身体の動かし方やクラブの握り方が書いてあるのではなく、まず「プロに見てもらう」ことを勧めるこの奥ゆかしさ。これが、この本の他にはない魅力です。

今日でも繰り返し指摘される「スイング中、頭を動かさない」というセオリーに対しても、「どんな名手でも、全く頭を動かさないでスイングできるはずはありません」と鵜呑みにしないところは、『レイテ戦記』の作者として実証的な性格を持つ作家ならでは。

3番アイアンは難しく成功率が低く、バッグから抜いたほうが良く、5番ウッドなど変えたほうが望ましいと勧めているのは、ショートウッドやユーティリティを入れ、ロングアイアンを外す現代のクラブセッティングの傾向を的確にとらえているといえます。

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