常識と考えられているセオリーを自ら検証
先日公開された映画『明日への遺言』の原作『ながい旅』 |
既に出版から46年が経過した現代においても十分通用する内容が含まれています。第一章の冒頭で、「ゴルフがうまくなるために、欠くべからざる条件」として「プロにつくこと」と言っているのは至言です。多くのレッスン本のように、身体の動かし方やクラブの握り方が書いてあるのではなく、まず「プロに見てもらう」ことを勧めるこの奥ゆかしさ。これが、この本の他にはない魅力です。
今日でも繰り返し指摘される「スイング中、頭を動かさない」というセオリーに対しても、「どんな名手でも、全く頭を動かさないでスイングできるはずはありません」と鵜呑みにしないところは、『レイテ戦記』の作者として実証的な性格を持つ作家ならでは。
3番アイアンは難しく成功率が低く、バッグから抜いたほうが良く、5番ウッドなど変えたほうが望ましいと勧めているのは、ショートウッドやユーティリティを入れ、ロングアイアンを外す現代のクラブセッティングの傾向を的確にとらえているといえます。