グリーンオンの確率は高まるが、デメリットも深刻
すでに多くのメーカーが、様々なロフト角のウェッジのラインナップを用意 |
ストロングロフト化によって、一番手以上飛距離が伸びたとします。例えば、9番アイアンで120ヤードの距離を打っていたゴルファーは、最新のストロングロフトのアイアンだと130ヤード以上飛ぶことになります。
残り130ヤードが9番アイアンで狙えれば、グリーンオンの確率はひょっとしたら高まるかもしれません。しかし、デメリットは深刻です。130ヤード以下の距離をPW、AW、SWの3本で打ち分けなければならないからです。
この場合の理想的な距離の打ち分けは、15ヤード刻みでしょう。それぞれ115ヤード、100ヤード、85ヤードとなれば一応バランスが良くなります。しかし、AWで100ヤード飛ばすのはかなりのパワーが必要です。またバンカー脱出を考えるとSWには55~58度くらいのロフト角が欲しいところ。青写真どおりSWで85ヤード打つのはやはりパワーが必要です。少なくともしっかりしたフルショットが必要になるのではないでしょうか? 最も前傾が深くなるウェッジでのショットで距離を出そうとすると、いかにもミスショットになりそうです。
SWをバンカー専用と位置づけているゴルファーも多いですが、そうしたゴルファーはAW一本で100ヤードの距離の打ち分けが必要です。60ヤードが残っても、80ヤードが残ってもそのたびにAWの絶妙なコントロールショットが要求されるのです。これはシビレます……。
この問題を手っ取りばやく解決するのは、ウェッジをもう1本入れることだったりします。なんだか本末転倒ですが、「アイアンセットのセッティングを極める」でも紹介したように、飛びすぎる9番アイアンやPWとの距離差をうめるため、適度にピッチしたロフト角のウェッジを追加します。
横峯さくら選手が、「飛ぶPW」と「飛ばないPW」の2本をバッグに入れているのは有名な話ですが、距離の打ち分けが完璧と思われるトッププロでさえそうしたセッティングでストロングロフト化したアイアンとウェッジとの飛距離差を埋めています。