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華麗なる引退、フレアー最後の3日間(後)

『レッスルマニア24』をもって引退したリック・フレアーには、選手、関係者、ファンから、前例なき敬意と祝福、はなむけのサプライズが寄せられた。

執筆者:川頭 広卓

戦前より、誰もがリック・フレアーのラストマッチになると悟っていた“キャリアスレトニング(負けたら引退)マッチ”。レスラーとして、フレアー最後の入場は、そのキャリアのように大きく、美しい花火が無数に、そして、盛大に打ちあがった

フレアー、泣きっぱなしの3日間始まる

鳴り止まない拍手と歓声に、最初から涙で顔を真っ赤にしたフレアー。1時間以上にもなったロングスピーチは、現役生活35年を支えてくれたファン、選手、関係者へ送った語りつくせぬ感謝の表れ
今年のホール・オブ・フェイム(以下、HOF)で殿堂入りを果たしたリック・フレアー。その式典より、フレアー最後の3日間は始まった。

HOFとは、1993年に死去したアンドレ・ザ・ジャイアントの功績を称える目的で設立された“WWE版・栄誉の殿堂”。その対象となるのはWWEで活躍した選手のみならず、マネージャ、ディーバ、関係者と多岐に渡る。1996年までは功労者を発表するだけに留めていたが、数年のブランクを経て2004年より式典を催し、功労者を大々的に称えるレッスルマニアの前夜祭としても恒例行事となっている。

今年の目玉は、もちろん、フレアーだ。現役選手として異例の殿堂入りを果たし、2008年HOFの取りを務めたフレアーには、2005年に殿堂入りしたハルク・ホーガン登場時を彷彿させる、“サンキュー・リック”の大コール。鳴り止まない拍手と歓声に、壇上のフレアーは早くも顔を真っ赤にして涙を見せた。

後にも先にも、HOF最長となるであろう、フレアーの1時間以上にも及ぶスピーチでは、選手仲間やもちろん、バックステージスタッフの名を丁寧に一人一人読み上げた。スピーチの節々では、さも当然の如く「明日、引退はしない」と強がってみせたものの、既に殿堂入りの喜びとは別の感情――。即ち、現役を退くにあたって、ファンや関係者に向けられた感謝のスピーチであることは誰の目にも明らかだった。

その長すぎたスピーチには、途中、幾度となくまきも入った。フレアーのインダクター(導き入れるもの=紹介者)を務めたHHHがフレアーにまきを促す耳打ちをするたびに、「フレアーのスピーチを邪魔するな」とばかりにファンからブーイングも発生。それほどまでに、フレアーは語り続けたのだ。

しかし、皮肉なもので、まきが入ったためか、恐らく最後に語られたであろう、HHHを含む本当に近しい仲間へのメッセージが些か省かれることになってしまったのは残念であった。
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