足4の字固めとトラースキック、紙一重の攻防

試合後のフレアーは、涙を浮かべて両手で投げキッス。万雷の拍手の中、花道を引き上げていった
そして、その翌日は運命の日。WWE史上最高額となる585万ドルのチケットセールスを記録、74,635人の大観衆を集めた『レッスルマニア24』がいよいよ幕を開けた。イベント序盤には、小雨もパラついたが、祭典に相応しい異常な熱気もあって、これは全く気にならなかった。

屋外の会場であることも手伝い、WWE最大の呼び声高い盛大な演出に包まれ、ビッグショー×フロイド“マネー”メイウェザーの一戦に、WWE3大タイトルマッチ、そして、リック・フレアーのキャリアスレトニングマッチ(負けたら引退)を中心に全10試合が行われた。

フレアー事実上の引退試合は、第6試合にラインナップされた。“選手”フレアーのテーマとしては、もう二度と聞くことはないであろう『ツァラトゥストラはかく語りき』にのって、新調した紫のガウンで登場。フレアー最後の入場は、そのキャリアのように大きく、美しい花火が無数に、そして、盛大に夜空へ打ちあがった。

ショーン・マイケルズとのラストマッチは、教科書通りの攻防に加え、最後を飾るビッグムーブを披露したフレアー。マイケルズの場外ムーンサルトアタックを受け止め、普段ならデッドリードライブで投げられるところを、コーナー最上段から、かつての得意技ダイビングクロスボディを見舞う場面もあった。

だが、そのフィニッシュとなる一連の攻防では、フィギュア・フォー・レッグロックであり、マイケルズはスウィート・チン・ミュージックを虎視眈々と狙っていく。

足4の字固めとトラースキック――。これが日本なら開始数分で連発されそうな古典的な技をめぐって、決めるか決められるか、紙一重の攻防を、7万人ものファンが固唾を呑んで見守っているのだから、二人の力量はさすがとしかいいようがない。

そして、フレアー引退の瞬間、歴史的フィニッシュが訪れる。マイケルズは「I'm sorry,I love you」と呟き、遂にスウィート・チン・ミュージックを叩き込むと、腰から崩れ落ちたフレアーは、20分にも及ぶタフマッチの末、万感の3カウントを聞いた。

またしても、鳴り止まない拍手とコール。試合後のフレアーは、やっぱり顔を真っ赤に、涙を浮かべて両手で大きな投げキッス。ファンに別れを告げると、マイクアピールをすることなく、長い長い花道を引き上げていった。