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集中連載・総合格闘技をオリンピックに(3) アマ総合の牙城・修斗の歩み(3ページ目)

連載第三回は、日本のアマチュア総合格闘技の現状と、その中で五輪に採用可能な競技はあるのか?を考えます。

執筆者:井田 英登

アマチュア=プロオーディションの構図

ここで注目してほしいのは、“修斗にとってのアマチュアの有り様”である。全く新しいプロスポーツの立ち上げという目的で、「アマチュア=プロ予備軍」という構図がこの段階からきっちりと組みあげられているということなのである。

ズバリ言えば「アマチュア大会=プロオーディション」の構図なのである。これは修斗の後発でスタートしたJTC(Japan Total Fight Championship)にしても構図は同じである。

JTCでは、上記の「活動理念」で記した通り、現在曖昧な傾向にあるアマチュアとプロの境を明確にし、本大会にて活躍した選手がプロ選手として活躍できるようなシステムを構築することを重要な課題として捉えております。


と謳われている通り、この大会をプロセレクションとして、パンクラスや慧舟会主催のDEMOLITEION、DEEPといった興行の戦力として選手が吸い上げられていく構図が出来上がっている。

確かにアマチュアを最底辺に置いて、プロを頂点とするピラミッドを組上げていく構図は、野球やサッカーなどメジャースポーツでもお馴染みの構図である。学校体育やクラブ活動にも波及しているこれらの球技は、有能な才能をスカウティングする上で非常に効果を発揮している。

だが、そこまでの裾野の広がりを持たない格闘技の場合、“プロ志向”のないアマチュアシーンが置き去りにされる現実が残る。野球やサッカーが公汎な競技の普及を果たしたのは、プロ以外でも競技を楽しむ何万という“草競技者”の広がりを背景にしているからであり、また“プレーするド素人”がたくさん居るからこそ、高度な技術の競り合いが商品となる構図をつくり出してもいるのだ。野球やサッカーに限らず、全てのスポーツはこうしたアマチュアスポーツの裾野の広がりをもって、初めて社会にも認知を受ける物となるのではないか。

特に、オリンピックとはそのアマチュア精神の頂点にたつイベントであり、その世界観のなかに組み込まれることで、今の格闘技界にはないより一般的な広がりが生まれる可能性を、本稿ではさらに探っていきたい。

【最終回】
プロに直結しない総合格闘技の砦・大道塾
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