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6+5ルールとは?外国人枠についての考察(2ページ目)

先日のCLリバプール対インテル。スタメンを見ると、リバプールのイングランド人は2人、インテルのイタリア人は1人。FIFAのブラッター会長が自国選手を育成する目的の「6+5ルール」案を提唱しているが。

執筆者:斉藤 健仁

「ボスマン裁定」とは?

リバプール戦ではマテラッツィが退場したため、インテルにはイタリア人選手がピッチに一人もいないという状況に……。
「ボスマン裁定」は、1990年にベルギーのジャン・マルク・ボスマンという選手が「職業選択の自由」を訴えておこした訴訟だ。

それまで、選手の保有権はクラブが所有し、移籍はクラブ間の合意でのみ実現することが普通だった。しかし、他クラブの移籍を志望していたボスマンは、それをクラブ側に認めてもらえなかったことでクラブを相手に訴えを起こしたのだった。

裁判はベルギー・リエージュの地方裁判所からEU司法裁判所にまで発展。1995年12月15日にEU司法裁判所が下記のように判決を下した。

(1)選手とクラブとの契約が終了し、その選手がEU加盟国の市民である場合、クラブは選手が他のEU加盟国のクラブと新しい契約を結ぶことを妨げたり、移籍先のクラブに移籍金や育成費を要求したりすることで、移籍を困難にしてはならない。

(2)EU加盟国の市民である選手の国籍に関して、制限を設けてはならない。

(3)すでに支払われた移籍金、または1995年12月15日以前にすでに支払い義務の発生している移籍金については、この判決は適用されない。

これにより、EU・EFTA加盟国の選手は移籍の自由を獲得し、クラブ側は契約期間中しか移籍金を請求できなくなった。

欧州で「6+5ルール」は違法との見解

「ボスマン裁定」がある以上、クラブ側はEU圏内の選手を自由に獲得・保有する権利を主張でき、またブラジルやアルゼンチンといった南米出身の選手の中にも、欧州諸国との2重国籍を持つ者も少なくない。こうした理由で、現状の欧州ビッグクラブでは、自国選手が極端に少なくなっているのである。

今月20日、ブラッター会長の「6+5ルール」に対して欧州委員会(EC)は、「欧州内では違法に当たる」との見解を出した。「EU域内ではEU加盟国の労働者は移住の自由が認められており、これはサッカー選手に関しても同様だ。もし、ルールがFIFAで承認されても、法律を変えることはない」という。

ブラッター会長は「外国人選手が増えていくことで、自国選手の育成ができず、クラブの個性や地域性が失われていく」と主張しているが、欧州諸国側からは強硬な反発が予想されるだろう。

2月19日に行われたCLのリバプール対インテル戦において、インテルは30分にマテラッティが退場したため、イタリア人がピッチにはいなくなってしまった……。「イタリアらしい守備」という言葉がTVから聞こえてきたが、イタリア人がゼロというのは、やっぱり寂しい。

6人と言わないまでも3人くらいは自国の選手を試合に出場させるべきではないだろうか。また、ラグビーの代表選手のように、3シーズンほどその国でプレーした選手に限り、その次のシーズンからは外国人枠を撤廃するなどの方策もあるはずだ。柔軟かつ適当なルールが求められている。



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