選び抜かれた珠玉集
〈片岡義男コレクション〉
恋愛小説をテーマにした〈片岡義男コレクション〉第2巻。禁欲的な語りが印象的な逸品揃いだ。 |
第3巻『ミス・リグビーの幸福』は〈アーロン・マッケルウェイ〉シリーズ全11編を網羅したハードボイルド連作集。1976年から1984年にかけて『ミステリマガジン』に発表され、1985年に単行本化された後、1987年に『ミス・リグビーの幸福』『ムーヴィン・オン』の二分冊として文庫化された"幻の名作"の復刊である。カリフォルニアに住む21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイと、それぞれに孤独を抱えた人々の出逢いを描く――という内容からも解るように、彼は必ずしも"名探偵"ではなく、さほど複雑な事件が起きるわけでもない。それでも本書が魅力的なのは、クールな私立探偵と依頼人たちの"接触面"として綴られる物語たちが、いずれも屈託のない爽やかな青春小説になり得ているからだ。人々の営みを片岡テイストでスケッチした"画集"として、これから片岡作品を読もうとする方――とりわけミステリーファンには格好の1冊と言えるだろう。
【関連サイト】
・〈片岡義男コレクション1~3〉文庫JAより三カ月連続刊行!…早川書房公式サイト内のニュースリリースです。