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真梨幸子の歪んだ物語(2ページ目)

エッジの利いた作風で知られる新鋭・真梨幸子。その"歪んだ心理"を描く作品群が注目を集めています。

執筆者:福井 健太

多彩な狂気を取り揃えた
初の作品集『ふたり狂い』

『ふたり狂い』
狂気の症例をモチーフにした8編を収録。"歪んだ心理"の扱いに長けた著者らしい野心的な作品集だ。
真梨幸子の最新刊『ふたり狂い』には、2006年から2009年にかけて『ミステリマガジン』に発表された8編が収められている。第1話「エロトマニア」では女流作家に愛されていると思い込んで彼女を刺した青年の裁判、第2話「クレーマー」ではデパートの食料品売り場で起きた異物混入騒ぎという具合に、様々なタイプの狂気が登場するのが本書の特徴だ。カリギュラ効果やゴールデンアップル伝説などの題材のユニークさ、皮肉なプロットの数々に加えて、最終話を第1話のオチにした構成も評価されるべきだろう。長編の"濃い"味付けよりも軽妙なぶん、読者を選ぶ度合いはさほど強くない。真梨作品を初めて読む人にも安心の1冊なのである。

【関連サイト】
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