調停士は名探偵
戦地に現れては殺戮を繰り広げる"残酷号"――彼は一体何者なのか? 仮面の"調停士"が大活躍を見せるシリーズ第5弾。 |
最高の魔導師を決める会場で大量殺人が発生する『紫骸城事件』、治外法権の島に逃げ込んだ密室殺人の容疑者を追う『海賊島事件』、呪われた難民街の謎が明かされる『禁涙境事件』などを経て、約4年ぶりに刊行された最新作が『残酷号事件』である。軍の暴虐と戦う不死の怪人"残酷号"の正体を探るEDは、やがて恐ろしくも哀しい真相に辿り着く。真に残酷なのは殺戮行為ではなく、1つの意志が"彼"に与えた運命だったのだ。淡々と綴られた悲劇の感傷とハードな戦闘を両立させているのも、いかにもこの著者らしい"匠の技"と言えるだろう。剣と魔法の世界、容赦のないアクション、青春小説的な切なさ、軽い謎解きなどが配合されたエンタテインメントとして、ファンタジーが苦手な人にこそお勧めしたい1冊なのである。
【関連サイト】
・上遠野浩平の世界Wiki…上遠野作品の情報を集めているWikiサイトです。