地震保険なにが改定されたのか?
2010年1月の火災保険改定に伴い、地震保険はどのように改定されたのかを解説します。
地震保険の改定
最初に地震保険の改定のポイントについてお話しておきましょう。今回の改定は火災保険改定による影響であって地震保険そのものについて大きな改定があったわけではありません。火災保険の改定の結果、地震保険料がアップする人やダウンする人が出てきますが、地震保険料率は改定されていません。まずはここを理解してください。
火災保険の構造級別区分変更による地震保険区分の改定
では具体的にどのように変わったのでしょうか。まず地震保険の構造区分はイ構造(非木造)、ロ構造(木造)の2区分になります。これらの区分に分けられる分類が下記のように変わりました。
【変更前】
イ構造:A構造、B構造、特級、1級、2級
ロ構造:C構造、D構造、3級、4級
【変更後】
イ構造:M構造、T構造、1級、2級
ロ構造:H構造、3級
※A~D、M・T・H構造は住宅物件の火災保険の分類、1~4級は一般物件(店舗、事務所あるいはこれらとの併用住宅など)の火災保険の分類
単純に火災保険の構造区分が変わったために、イ構造・ロ構造に分類される区分も変更になったということです。
改定により地震保険料の変更の影響が大きい建物は?
まったく影響がないかというとそうでない人もいます。具体例を挙げて解説していきましょう。
■省令準耐火構造に該当する場合
省令準耐火構造について良く分からない人は巻末のリンク記事を見てください。ここでは地震保険の改定の影響についてお話します。
2010年1月以前について省令準耐火建物についての扱いを確認しておきましょう。例えば住宅物件の場合、火災保険の構造判定はC構造であっても料率計算上はB構造で計算されていました(B構造の方が保険料は安い)。
但し地震保険についてはロ構造となっていました(改定前のB構造は非木造なのでイ構造、C構造は木造なのでロ構造)。これが今回の改定によってイ構造になります。つまりは値下げです。
■外壁コンクリートの木造建物など
さて問題なのはこちらのケースです。外壁がコンクリートなどの木造建物や土蔵造建物の場合、従来イ構造だったものがロ構造に変わります。このケースに該当する建物は火災保険でもかなり大幅な値上げとなるため、経過措置の料率が使われています。
ちなみに全国的にも最も料率の高い東京都、神奈川県、静岡県の場合、イ構造なら補償額100万円あたり1,690円ですが、ロ構造だと3,130円になります。
長期契約の火災保険と地震保険の構造区分の判定
火災保険では長期契約をしているケースも多いはずです。例えば2000年4月に火災保険を期間25年、地震保険を5年の自動継続にした場合。
火災保険は改定前からの契約ですが、地震保険は5年の自動継続のため改定後の2010年4月に地震保険の継続があります。こうした場合の考え方を解説しておきます。
■2010年1月1日以前から火災保険契約があり、地震保険もある。
→改定「前」の火災保険の構造級別から判定
■2010年1月1日以前から火災保険契約があり、地震保険を改定後に中途付帯
→改定「前」の火災保険の構造級別から判定
■2010年1月1日以後の火災保険契約で、地震保険も付帯
→改定「後」の火災保険の構造級別から判定
損害保険ガイドから今日のポイント
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