21世紀のナンシー・ドルー
ヴァリンコフスキー家の家宝「ファベルジェの卵」が盗まれた。ナンシーは卵を取り戻すべく捜査を始めるのだが……。 |
新シリーズ第1弾『ナンシー・ドルー ファベルジェの卵』では、近所の「ズッキーニ破壊事件」を調べていたナンシーが――偶然知り合った――フランス人の屋敷で起きた「ファベルジェの卵」盗難事件に巻き込まれる。親友のベス・マーヴィンとジョージ・フェインの力を借り、現場に居合わせた4人の青年を調べるうちに、ナンシーは意外な事実に辿り着くのだった。ファベルジェは19世紀末から20世紀にかけてロシア王室に仕えた宝石商で、細工を施した卵形の装飾品「インペリアル・イースター・エッグ」の製作で知られている――と聞けば「あれのことか」と思い当たる人も多いだろう。
チャリティレースでトラブルが続発。ナンシーたちは事態を収拾できるのか? そしてレースの行方は? |
時代背景が発表年に沿っているため、初期作品ではロードスターを乗り回していたナンシーも、新シリーズでは携帯電話やGPSを操っていたりする(年齢は常に18歳)。その点では「別物」に見えるかもしれない。しかし時代がどう変化しようと、シリーズの理念が守られている限り、ナンシーの普遍的な魅力に変わりはない。旧シリーズから読むか、新シリーズを試食するか――どちらの扉を選んだとしても、安心感のあるキャラクターとストーリーを楽しめることは確実なのだ。
【関連サイト】
・ナンシー・ドルー・ミステリ…東京創元社の〈ナンシー・ドルー〉シリーズ紹介ページです。