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この秋読みたい青春ミステリー(2ページ目)

そろそろ年末のベスト10にランクインしそうな気合の入った作品が続々と出版される季節。量の多さになかなか追いつけないのですが、話題の青春ミステリー2冊をおすすめ!!

執筆者:石井 千湖

俺の噺を聴け~、じゃ駄目?田中 啓文『ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉』

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉
上方落語が聴いてみたくなります。
落語ブームに先駆けて出版され好評だった『ハナシがちがう!―笑酔亭梅寿謎解噺』に続く第2弾です。金髪で鶏冠頭の元不良少年・竜二。無理矢理弟子入りさせられた笑酔亭梅寿の家での修行生活は相も変わらず。やることなすこと無茶苦茶な師匠に振り回され、兄弟子にはいびられ、ヘンテコな事件も起こる。慌しい毎日です。

第1話は餅を食べる仕草が見どころの「蛇含草」という古典がベース。若手落語家のコンテスト『O-1』(オーワン)に出場した竜二が、大阪に帰ってきたところからはじまります。東京の落語家に上方落語は“粋(いき)”じゃないとバカにされてがっくり。江戸と上方を比べて引け目を感じてしまう竜二に、梅寿は上方落語の“粋(すい)”を教えます。

前作に比べると竜二も成長している。とはいうものの、やっぱり芸に関する悩みはつきません。初めてラジオ番組のレギュラーが決まったのですが、まったく人気が出ないのです。「俺の噺を聴け~」とばかりに練りこんだギャグを連発し、毎回全力投球している。自分では面白いと思うのに、ちっともウケません。いったい、なぜ? 渾身のギャグがウケない原因を解明するのは「道具屋」。竜二に稽古をつけてくれる盲目の名人・林家右猿衛門の言葉は目からウロコです。

後半は梅寿も竜二も大ピンチ。危なっかしいけど魅力的なキャラクターにさらにハマってしまいます。第3弾も楽しみ!

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<関連サイト>
田中啓文のふえたこワールド…上方落語とジャズをこよなく愛する作家・田中啓文の公式サイト。
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