ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

ミステリーで気分爽快!(3ページ目)

梅雨も明けていよいよ夏本番! 暑さにぐったりしてませんか? 太陽の下で季節を満喫するのもよいですが、涼しい部屋の中でスカッとする小説を読むのはいかがでしょう。読後感スッキリのミステリーをご紹介します。

執筆者:石井 千湖

たとえば夏の着物には雪のモチーフがあしらわれたりします。暑いときこそ、冷たいものを想像して、涼しくなったつもりになるわけです。ということで、最後は、季節外れですがクリスマスの話を。

事件はグロいし、登場人物は変。でも爽快!ダニエル・ペナック『人喰い鬼のお愉しみ』

人喰い鬼のお愉しみ
ユーモラスなキャラクターが楽しい、フレンチ・ミステリー。
主人公はバンジャマン・マロセーヌ。職業は、デパートの苦情処理係です。彼の仕事はクレームを言いに来たお客の前で、上司に怒られて泣くこと。あまりの激しい叱られぶりに、腹を立てていたお客も思わず同情してしまい、店の損害も最小限度で済むという具合。マロセーヌは、家に帰ってもたいへん。なぜなら、母親が恋人をつくっては出奔してしまうから。父親のちがう弟妹の面倒をひとりで見ているのです。

クリスマスの時期。マロセーヌの勤め先のデパートで、連続爆破事件が起こります。しかも、なぜかいつも彼の近くで。警察に疑われ、彼の周囲はトラブルだらけ。いったい誰が、どうやって爆弾を持ち込んでいるのか?

本書の読みどころは、なんといっても強烈なキャラクター。日曜大工コーナーの担当者でお洒落なおかま・テオと、テオが率いる老人修理工の集団(小爺)、戦争体験を語る夜警、謎の万引き美女、仕事をさぼって日焼けサロンに通いつめる警備員、大昔から書籍コーナーにいる生き字引のような老人などなど、デパートにいるのは変人ばかり。また、マロセーヌの弟妹もカメラや占いのマニアだったり、飼い犬はめちゃくちゃ臭かったり、個性豊か。

果たしてマロセーヌの苦労は報われる日はくるのでしょうか。残酷なシーンもありますが、文章は湿り気がなくユーモラスで、死角を突くような真相も爽快です!

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