※今回紹介する「昔のふる里」は閉店しました(2017年11月9日追記)

「補身湯」抜きにスタミナ料理は語れない!

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大人の隠れ家と呼ぶに相応しい大久保のディープなエリアに位置する『昔のふる里』。店内には各界の有名人が来店する証である多くの写真が所狭しと飾られている
こと現在わが国や欧米諸国等々では、諸処の現状により、私たちが犬の肉を食すに抱くイメージは、正直、マイナスベクトルに向かっている。しかし、実際、犬鍋を食べてみると、こと滋養強壮や精力増強の側面から見れば、他の追随を許さないほど効力を発揮する---。

本場韓国では「補身湯(ポシンタン)」と呼ばれ親しまれている犬肉料理の代表格である犬鍋。補身とは栄養価の高いものなどを摂取して身体を強健にすることで、湯はスープの意である。古くはケジャン、またはクジャンと呼ばれ、現在は犬肉忌避の風潮から補身湯という名称を嫌い、栄養湯(ヨンヤンタン)、四節湯(サチョルタン)などとも呼ばれるている。また、北朝鮮では犬肉のことを俗にタンコギ(甘い肉)と呼ぶため、タンコギタン、タンコギジョンゴルという名前でも呼ばれているという。

そして、僕らにとって最も身近なコリアンタウンである大久保エリアには数軒の「補身湯」を提供している店が報告されているが、「補身湯」マニアを自負する僕から言わせれば、今回ご紹介する『昔のふる里』が最も旨い。

野菜が充実した女性に嬉しいヘルシーな一品

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写真は補身湯(小)5,000円。野菜は撮影用に少な目にしてあり、実際はテンコ盛りで出される
職安からほど近いディープな大久保エリアに位置する『昔のふる里』は、「補身湯」を看板メニューに掲げる創業17年の老舗だ。現在、韓国直輸入の上質な犬肉を使い、本場の味を提供しつづける数少ない店でもある。平鍋に犬肉、エゴマの葉、ニラ、ネギ、ニンニク、ショウガ、エゴマの擦り粉等々、それに秘伝のタレを加えてヘルシーに仕上げた一品だ。

その人間の本能を呼び覚ますような、かつて嗅いだことがないであろう香辛料とのハーモニーに一瞬戸惑うかもしれないが、慣れれば何て事はない。肉自体に味は感じられないが、食感は固い牛肉に似ており、ゼラチン部分は牛スジの煮込みのようである。スープはエキゾチックな香辛料味とでも言おうか、刺激的な香辛料が体内を駆けめぐると、一瞬でストレス満載の日々を忘れさせてくれるようにも感じる。また、同店では他にも蒸し料理や炒め料理なども味わえる。

犬肉を神のような存在と崇め、熱烈なラブコールを送る向きも多いが、そのへヴィでド根性な味と香りは賛否両論であり、拒否反応を示す輩も少なからず存在する。かのような理由により、「厳選豚肉の三段腹」と並び「補身湯」が看板メニューである同店であっても、あえて犬肉料理を勧めはせず、分かる人だけ食べてくれればいい、というスタイルだと言う。

が、同店では女性でもペロリと平らげるそうで、つい先日も初心者の女性数人のグループが訪れ、一人を除いては笑顔で鍋と蒸し料理を食べ、シメに残りスープで雑炊を作り、一滴残らず平らげていったそうな。

付言ながら、女性店長さんに「補身湯」の調理法を聞いてみると、生肉はとても固く強烈な臭みを発するため、固さや独特の臭みを消すために長時間下茹でする必要があるという。煮込むと、泡状のアクが大量に噴出し、それが白から黒に変わり、約4時間後に出来上がりだそうだ。

韓国でも牛肉に近いとされており、さらに、犬種は赤犬とされているそうで、山岳地帯の麓の犬舎で育てられており、その筋肉質で歯ごたえのある食感は人肉に近いとも言われている………なんてボディーブローのように重い痛みが続くディープな話も聞かせてくれた。嗚呼。