計画をねりねり

先生:
歌詞ですが、やっぱり中田Pらしいなと思ったのが「計画をねりねり」のフレーズですね。曲の尺に併せて無理やり作っただけの言葉なのかもしれませんが、Perfumeらしさが出ていますね。僕も会社で、「ちゃんと計画をねりねりしよう」とか使ってしまいそうです。

研究生:
四六時中ねりねりしっ放しなのが政界です。「金融サミット対処法をねりねり」「衆院解散時期を各党間でねりねり」「小沢代表辞職勧告案をねりねり」・・・かなり便利なフレーズです。

博士:
歌詞は切なく叙情的と言うよりはかなり具体的、しかもカワイイ。 これで「アイドルとか興味ないんで・・・」なんて言ってたら嘘です。

先生:
想定は初めての一人暮らしをする女子。とても平凡な多くの人が体験する事を歌詞にしているんですが、以前「love the world」で話した“世界(セカイ)感”を感じます。ここでは、ワンルーム=セカイ。部屋にはミラーボールが欲しい。

研究生:
「love the world」はタイトルと歌詞を照らし合わせると、タイトルがセカイ系っぽいニュアンスを帯び始めるような気もします。ところが「ワンルーム・ディスコ」では、このセカイ系には絶対不可欠な“キミ”がいない。ちなみに「Dream Fighter」でも“キミ”は存在していません。だから僕はこの2曲はセカイ系でなく、むしろそこから抜け出ようとする“自立の歌”なのではと捉えています。のっちが「ワンルーム・ディスコ」を「歌詞が熱いんですよ!」と評していたのも、そのあたりの要素を感じとっていたのかもしれません。

小悪魔:
そうなんですよ!!
だからこそアツいんですっ!!!!!

研究生:
あ、よく見ると一箇所だけ出てきていますね。でもこの“キミ”は、“ここ”には実在しない存在。だから、正確にはキミが“すぐ横にはいない、名残りだけが在る”曲なのかな? つまり“セカイ”が引き裂かれた後のワンルーム。そしてこの“キミ”は、おそらく地元に残してきた(元)彼氏や友だち、家族あたりでは?という解釈です。もうそこに自分のセカイは存在しないし、求めようとも思わない。つまり、「過去(のセカイ)」のメタファー。「ワンルーム=社会(への入口や、対峙するための“基地”)」というイメージです。

先生:
今回は、助手は参加していませんが、助手の深読みパートを一手に引き受けていますね。

研究生:
確かに僕も話していて、なんか助手っぽいなぁと思っていたところですよ(笑)。

ちなみにネット上では「ワンルーム・ディスコ」を“応援歌かよ”と揶揄する声も出ているそうです。しかし、この楽曲は何かを語りかける応援歌というよりも、むしろ健気にがんばる背中を見て、聴き手が(勝手に)共感する曲のような気がします。

応援歌の何がウザいって、野暮ったくて暑苦しい語りかけです。ところがこの曲って実は独り言をつぶやいてるだけだから、聴き手のことはほとんどほったらかし(笑)。それでも自己投影してたくなるのは、具体的で普遍性の高い「生活者視点」が落とし込まれているからなのでしょう。さまざまな解釈を受け入れる懐の深さは、良質なポップスであることの証だと思います。

小悪魔:
春!新生活!ワンルームから出発よ!に聴こえますが、わたしのような女にはもうなんとも言えない切なくいじらしい歌詞に聞こえるのです! あの歌詞にあの明るくダンサブルなディスコビートが重なるところが、小悪魔的にはこの曲が特別ぐっとくるポイントですね。

研究生:
ただし、歌詞に関してはいいことばかりではなくて・・・。実は何度聴いても、言葉がもたもたして聴こえてしまうのです。サビの言葉のノリは最高です。タイトルに使った単語を並べただけなのに(笑)。しかし、他の箇所には疑問が残ります。言葉を無理やり当て込んだメロディにありがちな、“もったり感”とでもいうのでしょうか。これまでのPerfume楽曲における言葉の乗せ方とはどこか異なる、歯切れの悪さを感じてしまいます。