MC-8

ガイド:
松武さんがローランド社のシーケンサーMC-8が使えるというのがYMOに参加される一つの理由だったと聞きますが、この時点でMC-8を使える人は日本にはほとんど居なかったのでしょうか?

松武:
どうなんでしょう? 情報網がほとんどなかったので何とも言えませんが・・・MC-8の価格が高価なのと、そんなに量産できるものではなかったんで、流通した台数自体も少なかったでしょうね。

ガイド:
MC-8苦労話などもあれば、聞かせてください。

松武:
苦労といえば、MC-8が悪い訳ではないんですけど、ライブではデンスケ(当時のテープレコーダーの愛称)やらモーグやらE-μやら、いろんなものと繋いでいたんで、機材トラブルが起きる確率は上がるし、どれか一つでもトラブルが起きると音が出ない部分があるのが大変でした。

Logic Sytem東芝EMI時代

ガイド:
今回ちょうど、東芝EMIからの初期Logic Systemの3作品(『Logic』『Venus』『東方快車』)のリリースが6月20日にリマスター再発されるのは、ファンにとってもうれしいことです。YMOの『BGM』『テクノデリック』と重なる時期に、Logic Systemを始まれたわけですが、その理由は?

松武:
時期が近かったことに特別な理由は思い出せないんですけど、たまたまテクノミュージックが成熟、拡散の時期だったのかも知れません。Logic Systemの役割というと大袈裟ですけど、アルバムごとにはテーマはありますね。
Logic
『Logic』はYMOもゲーム音楽も含めてコンピューター・ミュージックが世間に一通り認知された時期に、アナログシンセを中心にした日本+ヨーロッパ調のテクノの総まとめをしておきたかったと記憶してます。

Venus
『Venus』はロスで凄腕のミュージシャンが何人も参加してくれたり、クリス・モスデルさんの詩とかペーター佐藤さんのイラストとか含めて、総合芸術的な作品ですね。

東方快車
『東方快車』は、僕が鉄道が好きっていうのもありますけど、単に旅と言うことだけではないんです。大陸を横断できる鉄道で情報の交流があれば、戦争だって無くなるんじゃないか・・・と。そんなコンセプトで創りました。当時はまだベトナム戦争の影を引きずってたし、もっと世界を知ろうよ、お互いを助け合おうよ、という気持ちを込めたつもりです。

ガイド:
これは以前からご本人に聞いてみたかったんです。ファースト・アルバム『Logic』(1981年)にも収録されている「Domino Dance」は、シングルとしても日英同時発売されていますが、アジア圏でも人気が出たのですよね? 香港とか? フィリピンで流行ったといううろ覚えな記憶もあるんですが、そうだったのでしょうか?

松武:
EMIレーベルから9ヶ国で発売して、ヨーロッパ圏と、香港を中心にフィリピンを含めてアジア圏でヒットしました。ライブもやりましたね。僕とシンセとコンピューターしかステージにいないのに色んな音が鳴るから(笑)、当時はそんなの初めて見た人ばかりですごく驚かれたけど、熱気もすごかったですよ。さっきの『東方快車』の話じゃないですけど、音楽に国境はないんだな、と。