テクノポップ/フューチャーポップ

Perfume対談~グラミー賞への道(4ページ目)

最初こんな大それたテーマではなかったんです。PerfumeとYMOについて語っていたんです。でも、今のPerfume、言えば現実になる。目指して欲しい、グラミー賞!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

love the mechanique

先生:
これは、中田P本人の意見がぜひ聞きたいですね。なるほど、じゃ「love the world」と教授の「Ballet Mechanique」をマッシュアップすると面白そうですね。

博士:
アルバム『未来派野郎』に収録の「Ballet Mechanique」は教授の曲の中でも特にドラマティックな展開を見せる名曲です。これ一曲で教授のサウンド傾向を語り尽くせるほど、さまざまな要素がエッセンス的に詰まっています。

先生:
故岡田有希子が「Wonder Trip Lover」、近年では中谷美紀が「クロニック・ラヴ」と言うタイトルで歌詞を変えてカヴァーしていますね。

博士:
すでに“テクノだから”という理由を超えて純粋に今曲として“泣ける”域にある名曲です。「love the world」はこの曲との共通点が最も顕著でしょう。

私の個人的分析ではサビの転調部分を除くとほぼ全編、同一コード進行であることが判明しています。これも不思議な偶然ですね。中田Pの世界観はいつしかこのレベルに到達して、リスナーもその傾向に自然と順応し普通に聞き流していくステージになりつつあります。 新曲発表の度、しつこい位「右から左の曲」「数回聴くと癖になる」と言ってたあ~ちゃんギャグが、真実味を帯びてきました。

先生:
あれって、あ~ちゃんのお決まりの自虐ネタに聞こえますが、的を得ていますよね。極凡庸に聴こえる「love the world」が、実はPerfumeの中でも革新的な曲であるという隠された真実。

テクノの更新

博士:
確かに何の抵抗も無くさらっと入ってきます。すでに刺激や奇をてらうテクノでは無くなりつつある証拠です。 しかし、何の気なく聴き込み、ふと、いわゆるテクノ系としてPerfumeに便乗しようと狙う他のフォロアー達の意気込む最新作を聴くと、 「あれ?どれも普通のトランス系じゃん」って感じに聞こえてなりません。

先生:
2000年以降のテクノとトランスの関係というのは、80年代のテクノとユーロビートの関係に似ていますね。トランスもユーロも、オリジナルにはいいのがあるんですけど、お決まりのアレンジみたいなものになって、意気消沈みたいな。片瀬那奈の初期はカイリー系エレクトロとハウスという軸で素晴らしかったのですが、終盤トランスっぽくカヴァーとかの方向に行っちゃって、残念でした。本人の希望ではないと思いますが・・・

博士:
この数週間の間にテクノの定義さえ、脳内でリライトされてしまっていたかの様です。今、こういうのがキテしまうと、もう流行のアンチテーゼとして逆説的に狙ってみる「テクノポップ」への認識は刷新されなくてはいけませんね。すでに「テクノ歌謡」と言うキーワードさえ意味が薄れて来そうです。

先生:
エレクトロとかハウスとか言わないで、あえてテクノポップという肩書きをつけたのは、結果としては正解でしたね。スタッフもそこまで考えてやったわけではないでしょうが・・・。これからは大物アーティストもオートチューン使うでしょう。既にその傾向は出てきていますけど。
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