聴く側のクリエイティビティ?
先生:助手は、重症のノイローゼかもしれません。
さて、サウンド的にはどうでしょう?
博士:
「BcL」においても当初、私の評価はむしろ凡庸でしたが、PVを見てダンスを覚えてみるといつの間にか“癖”になってしまいましたからね。 またしても“スルメ曲”の可能性は秘めています。 キツネ指でチュチュチュがなんか今後、触媒になりそうな予感しますね。
助手:
アルバムオリコン1位という大ブレイクを経験した後のシングルですからね。いったいどんな曲で来るんだろうと肩に力を入れて聴いたのですが、正直、第一印象は肩透かしを食らったようでした。アレレ、「BcL」の強度が上がっただけかな?みたいな。ただ、さっき言ったようにあのPVを見て、どんどんこの曲の深みにはまっていきましたね。いろんな聴こえ方がするので、聴く側のクリエイティビティをすごく刺激する曲だと思います。
先生:
これが凡庸に聴こえるのは、あなたの感性の限界ですみたいな。
今回、A面はバキバキとか実験的な方向ではなく、capsule初期を思わせるテクノポップ・アレンジで綺麗に完成させましたね。新しい方向性としては転調が増えた感があります。XTCからの転調マニアとしては・・・
博士:
MEGやコルテモニカに提供した楽曲との類似性も、チラッと垣間見せてもいますね。
初恋の人登場!
先生:ライヴはHEY!x3で披露してくれましたが、三人のダンスはますますキレがいいですね。だんだん、細かい動きも増え、高度な振り付けになっているような気がします。
博士:
のっちのキレ味が半端じゃないです。
服は赤とのツートンなんですね!! 後ろから見ると著名百貨店の包装紙みたいです。
先生:
あ~ちゃんの初恋の人も登場しましたが、これに関しては助手と博士の意見に相違があるみいたなんで、各々の主張を聞かせてください。やはり、三人が同調するだけでは面白くありませんから。
博士:
私的には(嫉妬じゃないですよ!)素人の登場は興ざめですね。 頭脳明晰でテクニック派のダウンタウンにおいて唯一の“残念”ポイントが“素人いじり”だと思いますね。これはとんねるずなんかもたまにやってしまいます。“ねるとん紅鯨団なんかをルーツにする実にバブル期的なお笑い手法で、そのアナクロさがなんだか今思うと“寒い”んです。
今だにあんな手法でお笑いを取ろうとしてる・・・みたいな。 でも、“あいのり”とか見てる新しい世代では素人いじりに対してもまた新しい視点があるのかもしれません。若い人の意見も聞きたいですね。
助手:
僕の中でアレは非常に画期的だと思っていて、たとえばプロレスばっかり見てきた人が、マウントポジションでボコボコに殴ってるヒクソングレイシーの映像をはじめて見たときくらいの衝撃だったと思うんです。って意味がわからないと思いますが、「え?いいの?いや、わかってるんだけど、それホントにやっていいの?やっちゃダメなんだと思ってた」っていう。そりゃあ喧嘩になれば馬乗りで殴るだろうし、アイドルにだって初恋の人はいるはずなんですよ。わかってるんだけど、自分の中で「それはやっちゃいけない」ってルールが染み付いてた。
恋人がいるということが発覚したから、責任を取ってグループを脱退するなんていう時代錯誤も甚だしいロジックがまかり通る女性アイドル業界において、こういうことをサラっとやっちゃうのが、やっぱ最高ですね。そして何より頼もしいのが、それをファンが普通に受け止めている様子なんです。初恋の彼に対して、そこまで否定的な意見がないんですよね。
これが全盛期のハロプロだったら、あの初恋の彼はファンにどんな目に合わされてるか分かんないですよ。それもひとえにPerfumeの3人のお人柄なんでしょうけど、これってホントは女性アイドルの世界ではすごく革新的だと思うんです。サウンド面での革新性がとりあげられがちですが、 Perfumeの最大の魅力は、こういうところにあるんだと思います。
ボクがPerfumeには夢中になれるのにMEGには夢中になれないと言った理由も、実はこのへんにあるのかもしれません。好みもありますが純粋にルックスだけ観るとPerfumeよりMEGのほうがかわいいし、曲も同じヤスタカサウンドなのにどうもMEGには夢中になれない。となると見た目や楽曲だけでなく、コンセプトや物語性、人間性みたいな目に見えない部分に実はPerfumeの魅力が詰まってる気がします。そしてこれは複製が出来ないPerfumeならではの強みなんです。