日常テクノ三部作
前述のテクノ三部作が、S.F.的テクノだとすれば、2003年から2004年にかけて発売されたBEE-HIVE時代の三部作は日常的テクノです。では、日常テクノ三部作について検証しましょう。スウィート・ドーナッツ |
01. スウィート・ドーナッツ
02. シークレット・メッセージ
03. ジェニーはご機嫌ななめ
モノクロームエフェクト |
01. モノクロームエフェクト
02. エレベーター
03. おいしいレシピ
ビタミンドロップ |
01. ビタミンドロップ
02. 引力
中田ヤスタカが最初にプロデュースしたのが『スウィート・ドーナッツ』。カヴァー以外の作曲は中田ヤスタカで、もちろん編曲も。作詞は木の子というクレジットなんですが、正体不明。シングル『エレクトロ・ワールド』は中田作詞ですが、それ以外のPerfumeはこのコンビです。
最初にPerfumeを知ったのは、「ジェニーはご機嫌ななめ」をカヴァーしたアイドルとしてです。近田春夫が仕掛けて、お茶の間テクノ歌謡としてブレイクした、ジューシィ・フルーツがオリジナルですね。
役に立たない豆知識として今までに「ジェニーはご機嫌ななめ」のカヴァーをしたアーティストを紹介します。
■越智静香・・・シングル『ジェニーはご機嫌ななめ』(1991年)。「富豪刑事デラックス」とかにも出演する女優さんです。
■Suzy Susie・・・アルバム『Suzy Susie Collection - '93 Spring -』(1993年)より。バービー人形的ガール・バンドによるガレージ・サウンド・カヴァー。
■Robin・・・シングル『ジェニーはご機嫌ななめ』(1994年)。ロリータ系アイドル。東京のアリス~クラブ発の噂の少女らしい。
■神咲まゆみ・・・『TOKYOらいふ』(1999年)に収録。後に、CutiePaiのメンバーとしても活躍。
■Hi-Posi・・・ネオニューウェイヴ化したHi-Posiのシングル『ラジオスターの悲劇』(2000年)にカップリング。
話はPerfumeに戻しましょう。Perfumeヴァージョンは確信犯的なカヴァーです。多少今風エレクトロにアレンジしていますが、テクノポップのフォーマットは崩していません。ただ、今回のアルバムに未収録です。
日常テクノ三部作には、食べ物ソングが多いです。「スウィート・ドーナッツ」はただの食べ物ソングかと思いきや、「電子レンジ・・・」というフレーズがテクノだと思えるのは考えすぎでしょうか? 木の子という人、独自の言葉使いがあります。
2作目の『モノクロームエフェクト』のジャケを見ていると、地方都市から出てきた少女達はかなり垢抜けた感じ。PVもモードになって、capsuleをメタファーにしたアイドルのようです。楽曲も胸キュン・レトロフューチャー・ポップでロボ声も入って最高であります。「心の回路」とかにもまた言葉の力を感じます。
3作目の『ビタミンドロップ』は、アイドルとテクノなスピリットが無理なく融合しています。クラフトワークの「Vitamin」へのオマージュと考えられる(自信ない)。
capsuleが進化しているように、Perfumeも進化しています。未だかって、こんなにキックが利いている歌謡曲を歌ったアイドルはいませんでした。さらに進化を遂げる事を期待します。