前半の講義では、真性テクノアイドルの中でもグループを紹介しましたが、後半はソロです。所謂、テクノポップ界でも、戸川純のようにある種のアイドル的人気があった人もいたわけですが、ここではあくまでもアイドル界における真性テクノアイドルを紹介します。

最初のテクノなアイドル歌謡?

ソロとして、サウンドとコンセプトの両者から最初のテクノと言えるアイドル歌謡は、榊原郁恵の『ロボット』(1980年)だと思います。振り付けもロボット。しかしながら・・・正直申しまして、榊原郁恵は「夏のお嬢さん」のイメージが強すぎて、真性テクノアイドルとは言いがたい。はっきり言って、テクノアイドルとして胸が大きすぎる・・・いや、健康的過ぎるのです! ロボットについてテクノの重要課題なので、また別の機会に記事にするつもりです。

YMO系真鍋ちえみ

ちまたにて元祖テクノアイドルとされる人は、真鍋ちえみです。芸能プロダクションのオスカーに所属している、北原佐和子、三井比佐子、真鍋ちえみの三人を寄せ集めたほとんど実体のないアイドル・トリオ、パンジーのメンバーでもありました。北原と三井は破壊的な音痴アイドルとしても知られており、その中でも真鍋は普通の歌唱力を誇っていました。

実際のところ、アイドルとして一番人気、少なくとも寿命があったのは、北原でしょう。しかし、テクノな視点では違います。三人ともテクノ歌謡認定できる曲がありますが、その中でも真鍋ちえみは後に別格の扱いを受けます。細野晴臣、清水信之、松武秀樹、大村憲司、加藤和彦、矢野顕子といった豪華なサポート陣により製作された楽曲群は、風化しない力を持っています。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
不思議・少女+
真鍋ちえみは、3枚のシングル『ねらわれた少女』『ロマンティックしましょう』『ナイトトレイン・美少女』と1枚のアルバム『不思議・少女』(シングルも含めて全てリリースは1982年)を残して消えていった短命アイドルです。楽曲のコンセプトだけからすると、スターボーのようなハードコアなテクノ精神はありません。アルバム・タイトルからも伺えるように、あくまでも“乙女”。例えば、タイトル曲の「不思議・少女」では、恋する乙女心を歌いながら。でも、UFOが夜空に飛んだり、スーパーマンが星空に飛ぶのです。ジャケ写でもUFOが飛んでいるのは偶然ではないでしょう。

サウンド的にはやはり、YMOの「BGM」移植サウンド的な「ねらわれた少女」、YMO meets Moonridersテクノ歌謡として評価されるべき「ナイトトレイン・美少女」を推薦曲とします。

不朽の名作として2005年に『不思議・少女+』としてアルバム未収録曲も含めて見事再発CD化されてますので、聴いてみてください。