細野作品をカヴァーした理由

――今回、細野晴臣さんの『HOSONO HOUSE』からの「終わりの季節(owari no kisetsu)」をカヴァー、しかも初めてのヴォーカル曲として。この曲は、矢野顕子さんがライヴで歌われていたんですよね。そこから、自分でカヴァーしてみようと言う事になったのでしょうか? ヴォーカル曲をやると言う事には特に抵抗はなかったのでしょうか?

このカヴァーは、発表を前提として作ったものではありません。そもそも自分で作った歌詞/主旋律だったら、自分で冷静に聴けなかっただろうと思います。カヴァーの経緯は、まず矢野さんから「終わりの季節」をハラカミアレンジで歌いたい、というオファーがありまして、それを制作している最中に、最初は主旋律をピアノの音色とかで入れてたんですが、どうにも雰囲気がつかめないなと思い、自分で適当にウォークマン用マイクで歌ってみたわけです。それを矢野さんにお渡しする時に聴かせたのが発端です。今回のアルバムに入れるかどうかは最後まで考えていませんでした。あえて入れる事でアルバム全体が、より引き締まりつつ風通しがよくなる感じがしたから入れたのです。ちなみにCDに入ってる歌はデモのバージョンのままです。で、細野晴臣氏は、もちろん尊敬しております。

矢野顕子さんと・・・

――矢野顕子さんのアルバム『ほんとのきもち』(2004年)で「Too Good To Be True」と「Night Train Home」の2曲をプロデュースされましたが、作品を聴いて本当にお二人の相性がいいと感じます。製作過程ではNYと京都の間でどのようにやりとりをされたのですか?

基本的なやり取りは、矢野さんのヴォーカルとピアノの素材をMP3にしていただき、メール添付で送ってもらい、僕がその素材を使ってバックトラックを作って、それをまたMP3でメール添付…というやり取りでした。これは10年前ではあり得なかったスピード感です。ネット環境の進化には地方在住の人間からすれば、大変な恩恵を授かっているなと感じてます。最後のミックスダウンのみ、東京のスタジオでエンジニアさんに助けてもらいながら完成させました。やはり人間の移動が一番お金がかかりますね。

――矢野顕子さん曰く「世界遺産に決定。文句無し。」と大絶賛ですね。矢野さんがハラカミさんが手がけたくるりの「ばらの花」のリミックスを聴いて、ハラカミさんへのアプローチがあったらしいですが、驚かれましたか?

驚かないわけがないでしょう。僕が小学生の時、矢野さんはYMOでピョンピョン飛び跳ねているのをテレビで見てましたから。くるりのイベントで初めてお会いした時は、かけていたメガネが曇りました。「ばらの花remix」は、僕自身、かなり悩みながら作っていたので、矢野さんに絶賛された時は、もう引退してもいいかなと思える瞬間もありました。してませんが。