えろきゅん
――続く作品『えろきゅん』(2003年)は、短歌で締めくくる短編集というとても考えられた構成になっていますね。めちゃくちゃにリアルなシチュエーションと赤裸々な表現が潔く、感動的でさえもあります。ほとんどの読者が気になる質問ですが、一体何割ぐらいが実体験なのでしょうか?『体験』『願望』『妄想』が、創作の三本柱です(笑)。自分が経験したことを一から十まで、その通りに書き連ねたとしても意味は無い。私が実生活の中で「H」で「切ない」と感じた事を、出来るだけ私が感じたように読者の皆様に届けられるよう、膨らましたり、バッサリ削ったり、または実際に起きていないことも、さも"あった事"の様に書いたりもします。「H」で「せつない」が通底している作品集ということで、『えろきゅん』というタイトルが生まれました。
『えろきゅん』という言葉を思い付いた時、検索をかけてみたんです。そうしたら、ひらがな、カタカナ、カナ混じりでもそんな言葉はヒットしなくて。「ヤッタ! アタシ、新しい日本語を発明した~♪」と、有頂天になっていたら、つい先日、自分が時事川柳を連載していた男性誌の巻末の通販ページで"エロきゅんローター"っていうのを発見してしまって・・・。パクラれました! 思わず爆死っすよ! ふんとに。一個ぐらい送ってきやがれ! ってんだ、マッタク(ぷんすか)!
表紙は「平成の美人画家」(と、私は呼んでいます)田中修一郎さんにお願いしました。知り合って作品を拝見し、いつか必ずお仕事をご一緒させて頂きたいと思っておりました。そして『えろきゅん』を書き上げた時に、「表紙は田中さんしかいない!」と。おしゃれなヌードの「ちんかめ」って、ありますよね? あれを絵でやりたかったのです。因みにモデルは...あ、わかっちゃいました~? 既に皆様お気付きかと思われますが、私、自分が大好きなんです(笑)!
◆田中修一郎
結末が見えていたって構わない醒めない夢の中で抱いてよ
Photo by Shigeto Imura |
・一回目のデートではHはしない
・一つの集団(コロニー)で(の関係)は、一人だけ
・一回誘って脈が無かったら、サックリ引く
これさえ守っておけば、男前な女子でいることが出来る。そう信じている。
と書かれていますね。なかなかの名言だと感じました。男前な女子っていい表現。これは逆に、自らの失敗も含めて出来上がった経験則なのでしょうか?
これ! 本当に大事なことなんですけどねぇ~。ぶっちゃけ、守れてません(爆)。一回目のデートどころか、調子が良ければ出逢ったその日に・・・てへッ(いや、テヘじゃないし)♪
「もぉう、だぁれ? こんなの書いたの~? あ、アタシか・・・」健啖家です、我ながら。
――余談ですが、「テヘ」の元祖は小泉今日子だと思います。さて、山本晋也監督の「山本晋也のランク10(テン)国」でも川上さんとの動画対談が見れますが、意気投合というか、もうベタほめですね。シリーズタイトルとなっている「女性の性の伝道者」として一言。
「女性だから、こうあるべき」とか「男性だから、こうあらねばならない」という、"くくり"が好きではないんです。人間は、皆平等。その上で、それぞれの感覚や、感性、生き物としての性質の違いを楽しめれば良いなあと。
私は、性の悦びが、唯一人間に平等に与えられたものだと思っているんです。美醜や貧富の差に関わらず、仮になんらかの障害(社会的、また精神、身体的に)があったとしても、互いの趣味・嗜好を分かち合えるパートナーが居たり、でなければ独りでだって楽しむ事が出来る。それを「汚らわしいモノ」として扱うことなく、必要で、大切な事だということを、特に若い人達に伝えられたらと思っています。例えば、「援助交際して得たお金で買ったブランドものなんざ、クソなんだよ!」って。