アルバム・デビュー
ファンホッホ |
さっきも言いましたが、4年ほど前にレーベルの主催者でもある大川素子さんという人物にであって、その当時、僕自身がトキテツのCDをリリースできるインディースレーベルを探してたのですが見つからず、切羽詰ってて、素子さんに相談したら、自主で出せばいいじゃんてことになって、プレス代を立て替えてくれたのがmeatmoonのはじまりです。いまだに元もとれてませんが・・・。現実的は話ですいません(困)。まぁ素子さんは命の恩人みたいな人です。レーベル名は素子さんが考えたので由来は知りません。ちなみにアルバムタイトルの『ファンホッホ』はビンセントヴァンゴッホのオランダ語読みです。
――1曲目の「ベッドルーム」から、ニヤリでした。全体的な印象としては、不思議な小宇宙空間を生み出している箱庭テクノポップ。例えば、4曲目の「僕の棲む庭」などは、ぴったりです。それも、なんとなく懐かしい80年代を凝縮したような。当然、80年代テクノポップはリアルタイムではないと思いますが、後追いでかなり聴いたのですか? 好きなアーティストは?
いや、80年代テクノポップを意識して聴きだしたのは本当にごく最近で、むしろ子供のころに無意識に聴いていた音楽の影響が強いかもしれません。やっぱりファミコン世代ですし。ただなぜか昔から、生楽器の音より電子音のほうが好きでした。電子音てすごく切ない感じがするんです。切ない音楽が好きなもので。箱庭的になるのは、音楽性というより自分の性格の問題だと思います。よく笑われるのですが、小学生から中学生にかけて、「東京少年」や「遊佐未森」などをよく聴いていました。
実家がひどく田舎なものでマニアックな音源にふれる機会はありませんでした。まわりはB'zや、メタルなどを聴いてたのでその反逆の気持ちもあってそんなのを聴いてたのだと思います。最近聴き返したら、ばっちり影響されてることに気づきましたが。高校に入ると、もてたいために普通にミスチルとか聴いてました。(あとやっぱり電グルは聴いてたか。)ちなみに高校時代にやっていたコピーバンドは自分にはまったく主導権はなく、ロックな曲ばかりしてました。楽器できなかったのでボーカルをしてました。トキテツがこういうふうになったのはその反動もあったのだと思います。
――6曲目の「-ルーム-」なんかは最近のエレクトロニカ系(踊れない系)にも通じますね。エレクトロニカ系もよく聴かれるのでしょうか?
エレクトロニカが好きっていうよりも、踊れるテクノが苦手です。どうもクラブとかで踊るのがまったく駄目で。ここ何年かで好きなのは、mum(ムーム)ですね。エレクトロでも有機的な感じがして素敵だと思います。ところで虫の鳴き声とかって、シーケンサー的じゃないですか? 虫もロボットぽいし。そういう電子音が好きなのだと思います。切ない電子音。あと最近はあまり聴いてませんが、Mouse On Marsも好きです。
――9・10曲目の「文化祭デビュー」「文化祭レビュー」なんかを聴いていると、京浜兄弟社系のひとたちに通じるものを感じましたが、どうでしょうか?
京浜兄弟社系は僕よりもレーベルオーナーの素子さんのほうが所縁はあると思います。岸野さんとかも素子さんに教えてもらって知りましたし。アルバム作ってると、普通の歌物よりもああいう、なんじゃこりゃみたいな捨て曲のほうがたくさんできます。だいたい30曲くらいはああいう捨て曲ができます。で、アルバムのキャッチーさが失われるのを分かってながら、つい収録したくなってしまいます。恥ずかしがりやなもので。