『Lost In Translation』にも「Too Young」が収録されたフェニックス(Pheonix)のデビュー・アルバム『United』(2000年)。メンバーの一人であるブランコは、ダフト・パンクの二人とダーリン(Darlin')というグループをやっていた。冒頭でも紹介した『De La Musique』などのコンピに収録の「If I Ever Feel Better」のThe Buffalo Bunchのリミックスを聴くと、ダフト・パンク系列のフィルター・ハウスと騙されそうですが、このアルバムに収録のオリジナル「If I Ever Feel Better」などを聴くと、彼らは決してダンス志向のみでない、タヒチ80などとも共通項が多い、ソフトロックからVan Halenの「Jump」の大ネタまでこなすクロスオヴァー型再構築ポップと言えます。「Funky Squaredance」というやたらに長いトラックがありますが、ビートルズの「I Want You」的フレーズが登場する壮大な展開の曲です。
4年ぶりにこの3月に日本先行リリースされたセカンド・アルバム『Alphabetical』(2004年)は、はっきり言って、素晴らしすぎるの一言。MY2004年ベスト・アルバムの一つに迷わず、選びます。「Outkast meets The Strokes」などという形容もされていますが、シングル・カットもされている1曲目の「Everything Is Everything」から完全に涙腺が緩みます。5曲目の「Victim Of The Crime」では、21世紀のモダンポップと言いたくなる。前作では、多少あったダンス志向は減りましたが、ポップ・マニアが涙する曲がこれでもかと、連発されます。捨て曲なし! 最近、このアルバムを聴き込み過ぎ、フェニックス中毒になって、他のが聴けなくて困っている。
1999年のデビュー・アルバム『Another Mellow Winter』に続く、メロウ(Mellow)の最新セカンド・アルバム『Perfect Colors』(2004年)。ソフトロックやサイケデリックロックを再構築したポップトロニカ。ビートルズの『Magical Mystery Tour』、特に「Strawberry Fields Forever」なんかをイメージしてもらうといいでしょう。コアなビートルズ・ファンやプログレ・ロック派にもいけるんでは。聴きこむほどに味が出てくるスルメ型。
ダフト・パンクに始まるハウス系フレンチ・タッチ・ブームは一段落した感がありますが、今後、ポップ回帰志向を強くしたフレンチ・ヌーヴェル・ポップの動きは目が離せません。特にフェニックス。元々ポップ・ファンも取り込んでいるダフト・パンクも、今後よりポップへとシフトして行くのではないかと個人的には予想しています。
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