日本では、エール以上に人気のあるタヒチ80。ヴォーカルのグザヴィエ・ボワイエを中心にメデリック・ゴンティエ、シルヴァン・マルシャン、ペドロ・ルスンドで構成された4人組。2000年のデビュー・アルバム『Puzzle』では、IVYのアンディ・チェイスのプロデュースの下、一見アメリカン・ソフトロック風味のギターポップに聴こえますが、代表曲「Heart Beat」など複数のルーツを持ったポップ・ソングとしての構造が意外と複雑なインドアポップに仕上がっています。つまり、フランスの渋谷系のよう。
ポップエレクトロニカ的視点でお勧め、そして個人的にも一番好きなタヒチ曲は、日本編集ミニ・アルバム『Songs From Outer Space』(2001年)にも収録のトーレ・ヨハンソンがミックスした浮遊感溢れる「A Love From Outer Space」。これは、「Pump Up the Volume」で一世を風靡したM/A/R/R/Sのメンバーでもあった二人組A.R. Kaneのアルバム『i』(1989年)での収録曲のカヴァー。確かに、この辺は意外にもポップトロニカのルーツかもしれません。2002年には『Wallpaper For The Soul』をリリースし、2004年3月には、来日し、アコースティック・ライヴを披露。
Ye-Yeは、タヒチ80の元キーボーディストだったファブリス・ユベールとデヴィッド・ルオウブの2人組のデビュー・アルバム『Two Brains For Feet』 (2003年)。以前、フランス人のフィリップさんに教えてもらったのですが、イェイェまたはイエイエ(Ye-Ye)とは、Claude Francois、Sheila、Sylvie Vartanのような60年代のフランスのヴァリエテ(歌謡曲)である。ニューウェイヴ時代のElli et JacnoやEtienne Dahoのような人たちはヌーヴォー・イェイェ(Nouveaux Ye-Ye)と呼ばれていました。蛇足ですが、イエイエ・ガールズと言えば、田中美奈子がいたレナウンのオーディションから生まれたアイドル・トリオ。
タヒチ80がよりインディーポップ的なフォーマットに落としてきているのに対して、Ye-Yeはニューウェイヴ・リヴァイヴァル感溢れるエレクトロポップ。4人のゲスト・ヴォーカルも起用し、タヒチ80のグザヴィエが歌う「The End Of The Beginning」、パパス・フィータス(Papas Fritas)のシヴィカ・アシュタナ(Shivika Asthana)が歌う「Eurostar」など、キャッチーなエレポップ炸裂。「アイウエオ カキクケコ」と意味不明の日本語が連なる「A Summer In Saint Valery」などはキッチュの極み。