誰が拒否したんだ?
ここで光るのは、組み合わせとしての選曲の妙です。ミックスCDというのは、DJのジャンル的指向性があって、その枠内にまとめられるのが普通です。ジャンルを広く取ることは出来ますが、下手に選曲するといい加減なマイ・テープと化し、とても散漫・中途半端な印象を与えてしまいます。しかし、ここで繰り広げられるのは、ジャンル無視、時代感無視、メジャーとマイナーの境界無視。EL&P(Art Of Noiseではなく)の「Peter Gun」とBasement Jaxxの「Where's Your Head At」のマッシュ・アップから始まり・・・さらにPeaches姐さんの「Funk The Pain Away」がさらに重なるようにマッシュ・アップされる。この調子で、ガンガン、マッシュ・アップの連続技が炸裂します。一度解体された破片となったサウンド(又はアカペラ)は、切り貼りの結果、新しい楽曲として見事に再構築されていきます。
Peaches、Ural 13 Diktator、Hanayo、Adult.、Vatalicなどの最近の美味しいエレクトロ系も取り入れながらも、テクノ、ハウス、懐かしのエレポップ、R&B、オルタナ、パンク、モダンポップ・・・そしてレジデンツ(The Residents)までも。レジデンツのファンキー度に打ちのめされる。デスティニーズ・チャイルドと10ccのマッシュ・アップ相性がこんないいとは、青天の霹靂です。どうしたら、ドリー・パートンとロイクソップスを一緒くたに出来るのか? 聴きこむほどに、新しい発見が出来ます。ちなみに隠しトラックは、カイリーです。でも、僕のCDプレイヤーでは聴けなかった・・・
しかし、驚愕に値するのは、このCDが正式リリースされてしまっている事です。6ヶ月以上の歳月をかけて(CDの製作は1週間)、レコード会社に楽曲使用許可を得てしまった。しかしながら、交渉を進めた187のトラックに中で、114曲は許可されて、62は拒否、11は不明との報告が公式ページでなされています。しかも、某レコード会社のスポークスウーマンの冴えないコメントが・・・やはり、利益が出ない楽曲の使用許可は出したくないというのが本音のレコード会社もあるようです。
そして、痛快にも公式ページで、「許可されて使用したトラック」「許可されたけれども使用していないトラック」そして「拒否されたトラック」を発表している。レコード会社がアーティストの意向に関わらず拒否したかもしれませんが、本来サンプリングやこの手の精神的パンクな行動に理解を示してもおかしくないと思われるアーティストが、拒否しています。マイケル・ジャクソン、ジャネット・ジャクソンやプリンスなどは、ビッグネームとして何となく合点がいくのですが、アーティストによってはちょっと格好悪いですね。
例えば・・・
Beastie Boys、Beck、Cassius、Chemical Brothers、Daft Punk、Liaisons Dangereuses、Notorious B.I.G.、The Clash・・・・
今からでも遅くない・・・許可してあげましょう。
そして、もう一つ浮き上がる疑問。