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ニューウェイヴ再構築~Part 4 元祖!変態ディスコ

ディスコパンクの台頭が著しい今日この頃ですが、元祖となる70年代末から80年代のポストパンクおよびポスト・ディスコ・シーンの中でも異彩を放っていた「変態ディスコ」に焦点を当てます。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

このところ、ディスコパンク、デス・ディスコ、ネオ・ポストパンクと位置付けれらるバンド群の台頭が著しいです。パンク~ロックというフィールドからテクノ~ハウスのフィールドにおいてもその影響が広がっています。その元祖となる70年代末から80年代のポストパンク、ノーウェイヴなどのアンダーグラウンド色が強いムーヴメントが再評価され、企画物のオムニバスもリリースされています。

今回は、ポストパンク・シーンそしてポスト・ディスコ・シーンの中でも異彩を放っていた「変態ディスコ」に焦点を当てます。ディスコでありながら、ソウル系ディスコのゴージャス感はありません。今聴いても全然風化していないい、というか今聴いてはまる音です。「変態ディスコ」・・・あまり定着しているジャンル名ではありません。いや、ジャンル名かどうかも怪しいもんです。ポストパンク・ディスコ、ダブ・ディスコ、ディスコ・ファンク、アンダーグラウンド・ディスコ、ガラージ・ディスコ(後のガラージ・ハウスへと繋がる)・・・でも、いろいろ考えた末、この名前が一番ピッタリ来てるんで、タイトルとして使います。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
その名も『Disco Not Disco』というタイトルで出たジョーイ・ニーグロとジョーン・Pが選曲したNYのアンダーグランドからのレフトフィールド(左翼)ディスコのクラシック集。NYのアンダーグラウンドというのは、必ずしもNY出身のアーティストと言う意味ではなく、「パラダイス・ガラージ」に代表されるNYのクラブ・シーンと考えていいでしょう。イギリスのStrutという復刻レーベルが2000年にリリースしたのですが、なかなか先見の明があります。日本ではP-Vineが日本語解説付きでリリースしました。この「Disco Not Disco」というタイトルは渋いです。多分、Was (Not Was)から頂いたのでしょうが、「ディスコなんだけどディスコでない」というのはディスコの既成観念を破壊したこの変態ディスコにピッタリの表現。

変態ディスコとは、パンクを通過したファンク、そしてダブなどを取り入れたディスコとでも言えますが、ジャンル越えによって変態度が上がります。その端的な例が、1曲目のオノ・ヨーコの「Walking On Thin Ice」。ジョン・レノンの死から半年後の1981年にリリースされたアルバム『Season of Glass』に収録された曲。2003年には、Pet Shop BoysやFelix Da Housecatなどによるリミックスを集めたシングル『Walking On Thin Ice』(ジャケ写)がリリースされています。イアン・デュリーやSteve Miller Bandなんかも同種の異種格闘変態ディスコです。

01. Yoko Ono: Walking On Thin Ice [1981 Re-Edit]
02. Liquid Liquid: Cavern
03. Loose Joints: Tell You (Today) [Vocal Version]
04. Ian Dury & The Seven Seas Players: Spasticus Autisticus [Version]
05. Material: Over and Over [Long Version]
06. Was (Not Was): Wheel Me Out
07. Dinosaur: Kiss Me Again [Original Edit]
08. Don Cherry: I Walk
09. Common Sense: Voices Inside My Head
10. Indian Ocean: Treehouse/School Bell (Part 1)
11. Steve Miller Band: Macho City


『Disco Not Disco 2』(2002年)は、その続編。1曲目は、Laid Backによる元々1983年リリースの『Sunshine Reggae』(こちらも有名)にB面だったエレクトロ・ファンクなビートが決まりすぎの「White Horse」。2曲目のエレクトロ・ダブ・ディスコなんか完全に今の音です。「Electric Avenue」のヒットで知られるエディ・グラントの別名義ユニット、The Coach House Rhythm Sectionは、彼の実験的なエレクトロ・ファンクの一面が体験できます。最後は、ただのパンク・バンドで終わらなかったThe Clashの『Sandinista!』と『Combat Rock』の間にリリースされたダブ・ディスコ。

01. Laid Back: White Horse
02. Alexander Robtnick: Problemes D'Amour
03. Yello: Bostich
04. Can: Aspectacle [Holzer Czukay Edit]
05. Material: Ciquri
06. Connie Case: Get Down
07. The Coach House Rhythm Section: Timewarp
08. Arthur Russell: Let's Go Swimming
09. Barry Waite & Ltd: Sting (Part One)
10. Lex: Fourteen Days
11. The Clash: This Is Radio Clash
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