笹短歌(念力日誌)
部屋中に怪獣図鑑ちらかしてサイダー太りのこどもは眠る
【歌人・笹 公人】
――この度は、念願の第一歌集『念力家族』の発売おめでとうございます。笹さんによる「短歌」の定義とは何なのでしょう?
ありがとうございます。「短歌」とは、1300年の歴史を誇る日本の伝統詩型です。五・七・五・七・七の三十一文字で成り立っています。俳句とちがって、「季語」はいりません。「なり」とか「けり」とかいう古文(文語)体の語尾を無理に使う必要はありません。話し言葉であってもかまいません。
話し言葉(口語)と書き言葉(文語)が混じったところでいっこうにかまいません。歌う内容については、「自分の思い」を三十一文字にするのが一般的です。
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――『念力家族』は、デザインにもこだわりが感じられますね。村上龍なども手がけられている超人気装丁デザイナーの鈴木成一さんによる装丁は、笹さんのあつい希望だったのでしょうか?
これは編集者のあつい希望で、鈴木さんしかいないという執念に近い気持ちでやってくださっていたそうです。もちろん僕としても鈴木さんにやって頂けたら最高だと思っていたので、鈴木さんが快諾してくださった時は本当にうれしかったです。完成したものは、予想以上に最高に素晴らしくて、神(紙)技を感じました。実にイエローマジックな装丁で、念力ワールドにぴったりです。
――イラストは、雑誌、本、広告などで著名な田中英樹さんですね。レトロモダーンな感覚が笹短歌にぴったりですね。
『念力家族』のコンセプトは、
1)女子中・高生が雨の日の教室でまわし読みするような本
2)むかしの角川SFジュブナイル文庫の挿し絵のようなレトロなイラストを現代風にアレンジしたものだったのです。
このコンセプト通りの難しい作業をできる人は誰かと必死でさがしまわっていたのですが、そんな時に編集者が「これしかない!」という感じで、田中さんのイラストを見せてくれまして、僕も見た瞬間に「これだ!」と思いました。実は、『念力家族』のイラストはもともと田中さんが数年前に描いていた作品を多く使っています。
それはなぜかといいますと、僕の短歌と田中さんのこれまでのイラストを実験的に合わせてみたら、なんと描かれている世界がぴったりだったという場合が多かったので、そういうのはそのまま使わせて頂きました。しかも作成した時期まで一致していて、本当にびっくりしました。宇宙の神秘を感じました。
――そして・・・あの蜷川幸雄先生が賞賛の帯文を添えられていますが、笹さんは蜷川先生とはどのような縁で知り合いに?
蜷川先生とは19才の頃不思議なご縁で知り合ったのですが、当時から短歌に限らずいろいろな作品を見て頂いて、貴重なアドバイスを頂いてきました。それが心の支えになって、いまに到るという感じです。蜷川先生は心の師です。尊敬しています。