笹短歌(生徒会長レイコ)
校門のカメラ小僧を罵倒してレイコの朝がはじまらんとす



――短歌には音楽と同じようにジャンルはあるのでしょうか? すでに前衛短歌、ニューウェイヴ短歌というジャンルはあるようですが、あえて笹短歌をジャンルとしてとらえるとどうなるんでしょう? サイキック短歌?(師匠の岡井隆さん、俵万智さんや穂村弘さんとかはどうとらえているのでしょう?)

文語短歌と口語短歌という分け方はありますが、ジャンルと言われるとあるようでないと思います。全部ひっくるめて「現代短歌」と呼ばれることが多いです。あえて「笹短歌」にジャンル名をつけるとしたら、ずばり「エンターテイメント短歌」だと思います。

歌人の藤原龍一郎さんは『念力家族』を日本初の「笑える歌集」として評価してくださいましたが、たしかに「笹短歌」は現代短歌史上初の「お笑い短歌」として位置づけることもできると思います。まぁ短歌界としては、そんなジャンルは必要としてないでしょうけど(笑)。

岡井先生は、前衛短歌運動を興した方で、現代短歌に多大な影響を与えた巨人です。岡井先生の歌は、玄人を唸らせるだけではなくて、ふつうにいまどきのヤングが読んでもおもしろい部分があると思っています。そこがまた凄いと思います。

俵万智さんは口語短歌を広めた方です。『サラダ記念日』がなければいまの短歌界は違うものになっていたと思います。穂村さんは僕と同じく空想&妄想で短歌をつくっている歌人だと思いますが、その空想&妄想の中からポエジーをつかみだそうとしている人というイメージがあります。

――笹短歌は、家族と学園が大きなテーマですね。内省的だけど野望を秘めた少年が歌ったような学園もの短歌(スクール短歌)は、やはり笹さんの少年時代のリフレクションでしょうか?

いえ。逆に少年時代はクラスを代表するひょうきん者みたいな感じでしたから、決して内省的ではなかったですね。内省的になったのは高校時代からです。本当に暗い奴でした。基本的に僕は、全部空想で歌をつくっているので、自分の体験はあまり反映されていないのです。

――アメリカの素晴らしきB級映画『超能力学園Z(Zapped!)』 (1982年)は、ご存知でしょうか? 学園、超能力、生徒会長・・・笹さんの短歌の世界と共有するものを感じました。

『超能力学園Z(Zapped!)』は知ってますけど、見たことはありません。超能力ものの映画では、『キャリー』は大好きです。それよりも映画では、『転校生』とか『時をかける少女』とか大林映画の影響のほうが強いと思います。「ねらわれた学園」(眉村卓さんの原作含め)の影響もあるかと思います。

――「生徒会長レイコ」が主役の短歌、とっても好きです。とっても気高いビッチな生徒会長、レイコは、笹さんの屈辱的少年体験から生まれたものでしょうか?

いえ。少年時代はああいう女(スケ)には出会えませんでした。20代になってからああいう魔性の女みたいのに死ぬほどふりまわされたことがあったので、その体験は影響しているかもしれません(苦笑)。

――短歌というのは、やはりリズムがあって「詠む」ということも大事なんだと思いますが(『念力家族』も一人で声に出して詠みました)、短歌会とはどのようなものでしょう?「・・・YMOを好んで聴けり」とか「・・・髪をアトムに・・・」とか「・・・車内に大山のぶ代」とか皆さんの前で詠むんでしょうか?

もちろん詠みます。僕は常にウケを狙っていきますから。わざと「百人一首」ぽく詠んだりするとよけいウケますね。でも短歌界は非常に真面目な方が多いので、たまに怒っちゃう方もいます。

――ちょっと提案があります。百人一首も短歌ですよね。競技かるた、源平合戦、ちらし取り、坊主めくりなどで遊べるわけですが、21世紀のサイキック・カルタとして「公人百首」を発売してはどうでしょうか? 来年のお正月のブームになること間違い無しです。イラストもポイントですね。

「公人百首」いいネーミングですね。この企画は以前、編集者と話し合ったことがあるのですが、話のネタとして終わってしまいました。全部にイラストをつけるとなると莫大な予算がかかると思いますし、田中さんも多忙な方なので、実現は難しいとは思いますが、将来の夢のひとつとしてとっておきたいです。

念力家族(さらに笹短歌を知る!)
TOKYO ILLUSTRATION CENTER
(田中英樹さんの最近の仕事として『念力家族』が紹介されています)