テクノポップ/海外のテクノポップ

t.A.T.u.サウンドの謎(2ページ目)

タトゥー・サウンドは、無名のロシアの宅録青年によるもの。元ディレクターも自らデビュー? タトゥーの楽曲制作・リミックスに関わった人達を探ることで、そのサウンドの謎に迫ります。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

タトゥーのリミックスは、どんなリミキサーがやったのですか?

タトゥーは、実質1枚のアルバムしか出していないのに、ロシア語・英語、リミックス、デモなどのヴァージョンを含めると50曲を超える。初期の多くのリミキサーは、ロシア系で謎に包まれています。中には非公式リミックスもあるようですが。

DJ Ram
タトゥーのロシアでのデビュー・シングル『Ya Soshla S Uma (=All The Things She Said)』(2000年)では、合計4ヴァージョンのリミックスがあり、DJ Ramによるリミックスが2曲収められています。トラック2は、ユーロっぽい跳ねる感じのリミックス、トラック4はブレイクビーツ系といった感じですが、基本的にエレクトロポップのセンスがあるモスクワ出身のDJです。

Red Flag、Echoing Green、B!Machine、Beborn Beton、Clan Of Xymoxと言ったいわゆるシンセポップ系のユニットとのコラボレーションやMomento Materia(NASAをリリースしているスウェーデンのレーベル)、A Different Drum、Synthphony(両方ともアメリカのシンセポップ・レーベル)に関わる仕事をしているという経歴からも納得が行きます。『DJ Ram Presents Synthphony 2001: Russian Strike』でも彼のエレクトロポップ・ミックスが堪能できます。

こちらは、DJ Ramがリミックスしたロシアのアーティストを集めたコンピレーション『Rameslo』(2001年)。いろんなスタイル
のリミックスをしていますが、何処となく「ロシアの哀愁」が漂う。

DJ RAM official website

セルゲイ・ガロヤン(Sergey Galoyan)
前のページで解説したタトゥーの作曲家ですが、上記のシングルでトラック3をリミックスしています。リズムを強調したダンス・リミックス。

HarDrum
同じシングルでトラック5をリミックス。正体不明ですが、たぶんロシアのリミキサーでしょう。ロシア盤『200Km/H In The Wrong Lane』では、「Not Gonna Get Us」と「30 Minutes」のリミックスもやっている。

Moscow Grooves Institute
「30 Minutes」のリミックスに「Moscow Grooves Institute remix」というのがあります。Arkady MartoとBoris Nazarovによって1996年に結成され、Citadelというレーベルからアルバムを4枚リリースしている。僕が唯一もっている音源は、東・中央ヨーロッパのテクノ系アーティストを集めたオムニバス『DATCHA STUDIO』(2002年)。Moscow Grooves Instituteが2曲提供。ちょっとジャジーなエレクトロニカ系。

Moscow Grooves Institute(PVが見れます)

THAT BLACK
日本盤の『200Km/H In The Wrong Lane(t.A.T.u.)』にも収録されている「30 Minutes」と「Malchick Gay」のリミックス・ヴァージョンを手がけたのが、THAT BLACKことVlad Kramer。自らエクスペリメンタル・ドラムンベースと言っているミュージシャン。THAT BLACKという名前は、彼が作った黒い装置(THAT BLACK)が由来。前述のMoscow Grooves Instituteとも関わりがあり彼らのリミックスやSmash!!のリミックスも手がけている。現在までに、アルバム『THAT BLACK』と『Connection』をリリースしている。

THAT BLACK: Experimental DRUM'n'BASS project
Citadel Records
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