そういう時にも、芯を伝える広告表現というものの重要性に苦しみましたけど。でも、その方が、クライアントと長くつきあえるんです。ありがたい事に、最初から応援してくださっている、一番古いEDWINさんや長く応援して下さっているBEAMSさんを始め、みなさん、リスペクトして下さっていると思うんですよね。みなさん「dictionary」(写真は84号)に出しているからって、すごく売れるなんて、誰も思ってないですから。とにかく、こういうあきれたメディアをつくろうとしているこのバカに協力してやろうぐらいの気持ちで…。
――今後、クラブキングとして桑原さんが力を入れていきたいと思っているところはどこなんでしょうか?
「自由になりたい。」、フリーダムという事は、人間がオギャーと生まれて死ぬまで、ずっと思うことだと思うんですよね。その自由というのは、いろいろな考え方があるけれども、先ず、自分が自分らしく生きていくために、社会とどういう関係を持たないといけないかという問題が突きつけられる訳です。その中で、「日本で生まれたんだから、しょうがないじゃん。」というのではなくて、「この国に生まれたからこそ、俺達はこう生きる。」という事を思っていけるような、コミュニティを生み出したいというのが根底にあります。
たとえ孫の時代までかかったとしても、そうあればいいと。それを僕等の世代から未来の世代に伝えていくことですね。継続して。一人一人、夢や希望や、やりたい事があるでしょうけど、「自分だけのことだけ考えていても幸せにはならないんだ。」という事をみんなに考えてもらいたいですよね。循環型社会というか、そうすれば、みんなが気持ち良く過ごせる社会に変わっていくと思います。
特に9・11以降に関しては、坂本さんの動きに参加させて頂いて自分にしかできないことというと結局、スネークマン・ショーに帰って来るんですね。それと、表現したかった戦争反対がいきなりメジャーラジオで放送自粛にあったことも大きいですね。だから改めて自分しかできない方法論をやれるうちにやっておかないといけないなと初めて自覚しましたね。で、クラブキング・レコードというブラック・コメディーのレーベルをスタートさせることにしたんです。
つまり、基本は、「自由を我等に!」という事ですよね。そこら辺から始めていかないと。クラブキング・レコードからお洒落な音楽が揃いましたというのは、ちょっと違うかなと。そんなのは、20年前にやっていなくてはいけない事ですから。私自身は、ほんとに頭ぶつかって、失敗して、何にも分からない所から結果として今があって、今はその当時よりほんのちょっと分かっているだけであって、そんなに変わんないわけですよ。
今、「スネークマン・ニュース・ショー」に関しては、まだ全然出来ていないというのが分かってやっているんですけど、とりあえず今はニュースの速報性でいいと、先ずは、その勢いを止めないことだと思っているんです。ここから、あの当時のスネークマン・ショーのような繰り返しに耐えられる表現を目指し、今、生きてる自分たちの時代の熱気が伝えられるような表現をしたいと決心しているんです。
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