――アーティスト側からも、ギャグとしてでも戦争に触れるというのはタブー的なものが、多少ありますよね。
まぁ、誰にしてもそうでしょうね。特に、ファッションや音楽の世界って、日本って、戦争反対とか、社会的な発言をしないのが、粋だとかね。そういう国じゃないですか。みんな、「何どんくさいこと言ってんだ、こいつ。」というのはあったんじゃないですかね。それを決めてからは、ジャケットに赤十字のマークを使いたいというのは、はっきりしてましたね。まともに使うと駄目というんで、結局ちょっとずらしたものを使ったんですが。
裏は、ブルック・シールズの映画で『青い珊瑚礁』の看板を、外国のどっかで見たんだと思うんですよ。そのとき、きっと飛んでたんですね。恋人同士は真剣になれなるほど、結局お互いに首絞めあってるってことだからと…妙に納得して、表紙とは全然違うパロディージャケットを裏面に使おうと、わざわざ上手い映画の看板屋さんを探したんですよ。
――言いたい事とジャケというのが合うようにデザインされていたんですね。
今わがまま言わないで、いつ言うという感じでやらせてもらってました。
――どこまで、おっしゃって頂けるか分かりませんが、去年の9月にvol. 1~3発売されたものの、出荷が止まり、続編もリリース中止となった『ラジオ・スネークマン・ショー』が、何らかの形でリリースされる可能性はないのでしょうか?
これは、人間としての姿勢を問われている所もあってね。出演者のお二人に、そんなものもらってどうするんだという金額だったかも知れないけれど、ギャラを払い、スタジオ代を払い、全体のスネークマン・ショーというイメージを作っていく責任者は自分でしたが…。
人間と人間がたまたま何かの理由で出会って、お互いが気持ちを共有しあって、何もない所から作っていくという行為は、お金とか権利とか、本来そういうものではない世界だと、自分でも思うし。という事は、3人が同じ気持ちになる時でないと、出してはいけないんではないかと思います。
今回は、たまたま、私ではない、プロデューサーが入って、動かしていて、そのプロデューサーは、そんな事は百も承知でやってくださると思っていたんで、お預けしていたんですけど、結果的に、意思の疎通がうまく行っていない事が、こういう結果になってしまったんです。もう一回、3人の意思が上手く一つになる時を待って、やれたらいいかなと思ってるんで。
二人とも、出すのが嫌な訳ではないと思うんですね。私以上に、自分の作られたものであるし、出せるものならというのもおありかも知れない。そういう時期は、必ず来ると思っているんですけどね。
いよいよ、最終回『ピテカンからクラブキング』へと続きます。
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