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桑原茂一さんインタヴュー~Part 4 死ぬのは嫌だ、恐い。戦争反対!(2ページ目)

第4回では、タブーに挑戦するセカンド・アルバム『戦争反対!』の逸話。The B-52'sやブライアン・イーノも、スネークマン・ショーを知っているんだ!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

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――単純に人が死んでいくのをギャグにするのは問題があると。

人が死にそうなことを笑うのは不謹慎だということですね。アルファ・レコードの見識が問われる? 出せるわけないだろうと。ちょっと、自分の中では「ふざけていけませんよ。」というのがあったので、僕等は姿勢として、人間を冒涜している訳じゃないですから、それが、つまんない、全然説明のつかない理由でだめだと言われるのならシチュエーションを変えようという事で、つまり「一人殺すのは殺人で、戦争でたくさん殺すのは英雄だ。」的な、戦場にしたんですけどね。

――アルバム・タイトルは、最初から意図的に『戦争反対!』というのがあった訳ではないんですか?

『戦争反対!』というタイトルをつけたのは、やっている内にやっぱり、自分がすごく何かを突きつけられているような気がして、なぜもう一枚アルバム出すんだろうという気持ち、出せるという嬉しさと裏腹に責任感のような、何を求められているのだろうというのがそうさせたんでしょう。

それと、当時、自分がお笑いの仕掛け人と言われるのがすごく恥ずかしかったですね、音楽が好きで音楽番組なんだよと思っていたのに。お笑いの仕掛け人として、インタヴューなんかに来られる事も多くて。何なんだろう、すごく、かっこつけたかったんでしょうね。でも、もともと「Rolling Stone」誌をやってた時は、分からないなりに、反体制、反戦文化じゃないですか。

――ベトナム戦争ですよね。この時は。

あの頃は、自分の事として考えようにも考えられなかったですけど、否応なしにあの渦の中にいたんで、「Rolling Stone」誌をやり始める拠点になった所が19歳で始めた「キャッチ・ボックス」という店なんです。西麻布にあったんですが、店のそばに米軍基地があるんですけど、そこの兵隊が遊びに来ていたんですね。どうやって見つけたか分からない、すごく分かりにくい所なんですけど。

日本人って、水わりで飲んで、あまりお金使わないで遊びたいですよね。でも兵隊さん達って、ボトルでボッコンボッコン飲むんですよ。売上としては、嬉しいじゃないですか。大事にしますよね、当然。(笑)

言葉も若くてあまり出来ないですが、彼等の好きそうな曲をかけていくんです。それが、ロックだったり、当然反戦歌だったり、シカゴだったり、BST(Blood Sweat & Tears)だったり。そういう事で、だんだん、この人達がベトナムに行く人なんだという事が分かっていくわけなんです。なんか、切ないですよね。結局、彼等が、明日ベトナムへ行っちゃうとかいうことでしょ。

距離はあるんですけど、そんなことも影響してるでしょうね。スネークマン・ショーの中でいろいろあって、戦争というテーマを扱っていく事になっていた時に、「ここで言っとかないと、もう、こういうチャンスはないかもしれない。」と思って。『戦争反対!』というアルバムタイトルはすごく悩んだんですよ。こんなタイトルって言ったら、またレコード会社に嫌がられるな~と思って。
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