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ビッグバンドの基本構成は、トランペット4名、サックス5名(アルト2名、テナー2名、バリトン1名)、トロンボーン4名(内バストロンボーン1名)、ギター、ピアノ、ベース、ドラム各1名の計17名。既製品のビッグバンド譜のほとんどがこの構成で書かれています。フルートやクラリネットが書かれている場合は、サックス奏者が持ち替えて演奏することがほとんどなので、その譜面を演奏できるかどうかはサックス奏者のスキルに依存するわけです。 トランペットセクションが担当するのは、鋭いアクセントや派手なラインが中心。ミュートなどを使って特殊な効果を演出することもありますが、やはり音の立ち上がりの良さを活かしたダイナミックな演奏が魅力。ビッグバンドの花形、最も高い音を担当するリードトランペットに、2nd、3rd、4thトランペットがハモリを付けます。アドリブソロを担当するは主に2ndトランペットで、リード同様に耐久力が問われるポジションです。
トロンボーンセクションの武器は、美しいハーモニー。やわらかい音色で朗々と聴かせてくれるアンサンブルで、他のセクションとのコントラストをつけてくれます。かと思えば、トランペットセクションと結託して、低音部で鋭いアクセントをつけてくる。特にバストロンボーンの最下層でのアクセントは重要なアクセント。注意して聴いてみるべし! リズムセクションの基本は、ギター、ピアノ、ベース、ドラム。ギターとベースはひたすら4分音符でリズムを刻む、合計10本の弦楽器と言えるでしょう。カウント・ベイシー・オーケストラのギタリスト、フレディ・グリーンがビッグバンドギターの鏡とされていますが、ダイナミックな管楽器のアンサンブルがスパッと切れたときに、何事もなかったかのように淡々と刻まれているリズムが気持ち良い。ピアニストは司令塔。バンドリーダーが主にこのポジションにいるのが頷けます。そしてドラマーがバンドの色づけ役。リズムを刻みながら管楽器のアクセントを強調したり、盛り上がりのお膳立てなど、かなり忙しいポジションです。
根強い人気が保たれている一方で、ビッグバンドスタイルが発展していないのも事実です。原因はコストの高さ。頭数をそろえるだけでも大変なのに、その上アレンジにもお金や労力をかけるのは至難のワザ。新しいスタイルを次々に打ち出していけるような環境がないのです。バンドによっては、ほとんどノーギャラで運営されているという話を耳にすることがありますが、一度は出来ても、それを維持することが出来ないのです。 ビッグバンド最大の魅力は、やはりその迫力。録音を聴くのではなく、実際に生の演奏を体験してみて下さい。17人のエネルギーが一つになった演奏は、やはり実際に聴いてみるか、演奏してみるのが最高です。
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文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)
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