この人は非常に絵になる人だと思います。昔、コマーシャルにも出演していましたが、ケースに入ったベースを持ってニューヨークの町を歩く姿が印象的でした。お勧めはマイルスの『フォア・アンド・モア』。60年代最強のリズムセクションによる究極の演奏は、まさにカーチェイス!ロン・カーターのオーソドックスな演奏を聴きたいという方は、最近のリーダー作がいいと思います。チェロの名手(?)としても知られています。
由緒あるホールの床にベースのスタンドを突き刺して演奏してしまう男。テレビの取材中にライフルを発砲して警察沙汰になる男。フィルムで見たことのあるエピソードだけでもこれなのに…恐ろしい。ミュージシャンとしては奇才そのものです。常に新しいアイデアを模索しながら、しかしその根底にブルース色の強いジャズが感じられる。エリントンやモンクに共通したものを持っている人だと思います。
ある意味ジャズベーシストの鏡だと思います。ピアノのオスカー・ピーターソンとドラムのエド・シグペンからなるトリオで演奏されたジャズは、メインストリーム中のメインストリーム。昨年の7月に亡くなったとき(ちょうど1周忌ですね)、新聞各紙で報じられたのが思い出されます。お勧めは『プリーズ・リクエスト(WE GET REQUESTS)』。リクエストの多かったスタンダード、ベスト10といったところでしょう。高級感あふれる至高の逸品となっております。
エレキベースの演奏スタイルを一新させてしまった天才ジャコの最期は、浮浪者同然ののたれ死にだったという。広島城のお堀に自分のベースを投げ込んでしまったエピソードをもつジャコは、ステージに泥んこまみれで登場(ライブアンダーザスカイのTV放送でお茶の間にも…)。なんでも、アフリカ系のアメリカ人になりたかったそうですが、いやはや。そんなジャコのお勧め盤は『ワード・オブ・マウス』。演奏家としての超絶技巧はもとより、音楽家としてのジャコの天才ぶりがうかがえます
マイルスに見出され、今ではジャズ・フュージョン界の最先端をはしり続けるマーカス。マイルスのバンドではビクビクやっていたものの、マイルス没後はのびのびとしています。でも“あの頃”のマーカスっていいんですよね。ということでお勧め盤はマイルスバンド時代の『スター・ピープル』。なりふりかまわず一生懸命ベースを弾く姿が目に浮かぶ、若々しい勢いのあるベースを聴くことができる作品です。 目立たないベースという楽器のなかでも、目立たずに素晴らしいことをやってのけるミュージシャンも少なくはありません。オーディオの“BASS”をちょっと上げてベーシストを中心に聴いてみると、聴きなれているCDもまた違った面をみせてくれるかもしれませんよ。
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