文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)

偉大なジャズメンを紹介するシリーズ『Jazz Giants』3回目は、ブルーノート・レーベルの看板ギタリスト、グラント・グリーン(Grant Green 1935~1979)にスポットライトをあててみたいと思います。

※ジャケット写真がAmazon.comにリンクしています。


ビバップのイディオムを散りばめた、ブルージーでソウルフルなプレイで、人気をほこるグラント・グリーン。彼のギタープレイには、どこかもの悲しさと言おうか、せつなさを感じる。そんなグリーンの魅力とはどこからくるのであろうか?

グリーンは1935年、ミズーリ州セントルイスに生まれる。13歳の頃からプロとして、リズム&ブルースやゴスペルなどの演奏をしていたが、その間、チャーリー・パーカー(アルトサックス)やチャーリー・クリスチャン(ギター)等、ビバップの神様達のレコードをコピーしまくっていたと言う。

レコードデビューは、悪名高いテナーサックス奏者ジミー・フォレストのバンドにて。フォレストは、あのマイルスを悪の道に引きずり込んだ人物。非常に面倒見のよい人物だったようだ…。話はそれたが、その後ルー・ドナルドソン(アルトサックス)との運命的な出会いにより、ブルーノート・レーベルでの華々しいキャリアをスタートさせる。

グリーンの音、あのもの悲しさはシングルコイルのピックアップ(ギターのマイク)からうまれる。ノイズを抑えたハムバッキング・ピックアップの太くてパワフルな音が60年代からの主流になりつつあったが、グリーンのトレードマークはシングル・ピックアップのシャープで繊細な音。グリーンが主に使っていたのはP90というピックアップ搭載のギブソンのギターで、ビンテージものでも比較的安価で手に入るので、ギタリスト諸氏には是非チャレンジしていただきたい。

そして小刻みなビブラート。「泣きのギター」という言葉がピッタリあてはまる。ジャズやロックギタリストでは、上下にゆらす大きなビブラートが一般だが、グリーンはクラシックばりの左右にゆらすビブラートで、もの悲しさに拍車をかけている。

グラント・グリーンの、ガイドお勧め盤は『アップ・アット・ミントンズVol.1/Vol.2』。このアルバム、実はテナーサックスのスタンリー・タレンタインがリーダーなのだが、ブルーノートが、当時新人であったタレンタインとグリーン、ピアノのホレス・パーランを売り出すために作ったライブアルバムである。

初期の作品だけあって荒削りなところもあるのだが、グリーンの魅力が満載されている。注目したいのがVol.2収録の“レイター・アット・ミントンズ”。「とにかくオレのブルースを聴いてくれ!」と言ってはばからない最高にホットな演奏だ。アナウンスの言葉を借りれば「ベリー、ベリー、ファンキー・スロウ・ブルース…」。グリーンのルーツを感ることができるはずである。

同じくVol.2収録の“カム・レイン・オア・カム・シャイン”はクールなスタンダード。ブルージーでメロディアスなフレーズの合間に、ビバップフレーズをピタッと決めてくるところがニクイ。1コーラスしかアドリブが聴けないところもまた憎たらしく思わざるを得ない。


同年代のギタリストであるウェス・モンゴメリーのような派手さはないが、親しみを感じてしまうグラント・グリーンのプレイ。是非聴いていただきたいギタリストです。

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