文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)
ボサノバは、1950年代にブラジルで生まれた、軽快で洗練されたポップミュージック。当時、その鮮烈な音楽スタイルに、熱くラブコールを送ったのがアメリカのジャズミュージシャン達でした。親しみやすいメロディ、落ち着きながらも軽快なリズム、都会的なハーモニーで、我々日本人も魅了されてきました。 今月はそんなボサノバを奏でるミュージシャン達を特集したいと思います。ホワイトデーのプレゼントにぴったりな、お勧めCDも紹介していきます。ぜひ参考になさってください。 ボサノバの素晴らしいところは、そのリズムとハーモニー。例えば『ワン・ノート・サンバ』という曲がある。直訳すると『一つの音程のサンバ』。全てが一つの音程というわけではないが、少なくとも最初の8小節は、一つの音だけで作曲されている。話だけ聞くとふざけた話だが、まぎれもなく名曲である。一つの音だけでも、モールス信号になることなく、リズムとハーモニーによって美しい旋律となるのである。 |
■アントニオ・カルロス・ジョビン ボサノバのヒットメーカー。ジャズミュージシャンの取り上げるボサノバのほとんどが、このジョビンの作品だ。前出の『ワン・ノート・サンバ』ももちろんこの人の作品。そして作曲家としてだけではなく、独特のささやくような歌声と、シンプルに奏でるピアノも、その後のボサノバのスタイルに大きく影響してきた。 お勧めは『WAVE』。ほとんどがインストルメンタルでボサノバのBGMとしては申し分ない。さわやかな雰囲気は朝にも合うし、静かな夜を演出するにもピッタリくる。 |
■ジョアン・ジルベルト ジョビンと共に、ボサノバのスタイルを確立した人物。特にそのギターワークは、ボサノバの基本。ジャズのハーモニーを取り入れた、非常に洗練されたサウンドを聴くことができる。お勧め盤は…下記、アストラッド・ジルベルトで。 |
■アストラッド・ジルベルト |
■スタン・ゲッツ テナーサックスのスタン・ゲッツはジャズミュージシャン。モダンジャズの名手として数多くの作品を残しているが、ボサノバミュージシャン達との共演は、ジャズの歴史に大きく足跡を残している。お勧め盤は、上記『ゲッツ=ジルベルト』ももちろんだが、アコースティックギターの名手チャーリー・バードとのコレボレーションで、アメリカにボサノバブームを巻き起こした『ジャズ・サンバ』も素晴らしい。 |