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突撃リポート 高瀬龍一ライブレコーディング

今最も注目されているトランペッターの一人、高瀬龍一のライブレコーディングが六本木ピットインにて行われました。その様子をレポートしてみたいと思います。

執筆者:佐久間 啓輔

文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)

前作『Is Not Here』のリリースから早5年、現在最も期待されているトランペッターの一人、高瀬龍一の新作がライブレコーディングされるとのことでかけつけた。11月22日六本木ピットインにて行われたこのレコーディングは、ザイレムより『Turnaround(仮題)』というタイトルで来年3月下旬CD発売予定。早速その様子をレポートしてみたい。


ライブレコーディングということもあり、早めの時間にはじまった演奏は、ほぼ全編8、16ビート系のオリジナル曲。今回予定されているアルバムタイトルが『Turnaround』とのことで、文字通り『変化』する高瀬の姿が感じられる演奏であった。
前作はストレートな4ビートを中心とするアコースティックな演奏だったのに対し、今回はギター、シンセサイザーをまじえたエレクトリック路線だ。
変化したのは演奏スタイルだけではなく楽器も同様で本人

左から宮地傑(s)、武田桂二(b)、高瀬

曰く「マーチンとの違いは、音色がブライトなことと、音の輪郭がクリアーなことです。」とのこと。最近まで愛用していたというマーチンは、ご存知マイルス・デイビスのトレードマークともいうべき楽器で、マイルスばりのダークな音が特徴。今回より導入したのはカンスタル。今回の演奏内容にあわせたと言うべきなのだろうが、今の高瀬の中にある音はメロディー、ハーモニー、リズム、音色全てがブライトでエッジのきいたイメージなのであろう。

演奏スタイルそのものにもふれてみたい。非常にワイルドである。もともとは全ての音に対して非常に丁寧にアプローチしていく洗練されたイメージが強かった高瀬であったが、今回の演奏を聞いた限り、その緻密なフレーズワークを残しつつもそれを破壊していこうという姿勢が感じられる。安定したテクニックに裏づけされたそのワイルドなアプローチは、今後の活動にも期待される。

今回注目したいのがバンドの盛り上げ役、ギターの津村和彦だ。ライブ後半では、津村をフィーチャーした曲でメロディックに歌い上げ、ラストの曲で爆発するという、あらゆるスタイルに精通した氏の真骨頂を見た。楽器に関して「あまりこだわらなくなった。」と語る津村のふっきれた演奏が楽しめる内容であった。


津村和彦(g)
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