DTM・デジタルレコーディング/レコーディング・制作ノウハウ

プロが明かす新・音楽制作手法[3]

沖縄系ヒーリングユニットのTINGARAの音楽制作手法を紹介する連載の3回目。今回は、TINGARAの独特なサウンドをどのように作っているか、その種明かしをしてもらいました。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

組曲 ~命の森~
TINGARAのニューアルバム、「組曲 ~命の森~」
プロが明かす新・音楽制作手法」と題して、沖縄系ヒーリングユニットのTINGARAが自宅スタジオにおいてレコーディングからミキシング、そしてマスタリングまでの流れをすべて行っている手法を、TINGARAのイシジマヒデオさんにインタビューする連載の3回目。今回は、ニューアルバム「組曲~命の森」を例に、どのようにTINGARAの独特なサウンドを生み出しているのかを語ってもらいました。


ボーカルを4つ重ねるTINGARAサウンドの秘密

組曲 ~命の森~
TINGARAフォーマットをテンプレートにCubase上でつぐみさんが作ったデータ
--今回、異例のスピードで制作したという「組曲 ~命の森~」、実際にどのような手順で制作していったのか、具体的に教えていただけますか?
ヒデオ:この組曲に限らず、TINGARAのサウンド作りはある程度使う音源やトラックなどが固まっていることから、僕がCubaseのテンプレートとなる「TINGARAフォーマット」というものを作っています。それをつぐみにも渡しているので、つぐみがこれを利用して曲を作り、FTPサーバーにUPしています。1曲目の「精霊の森」の場合、ボーカルトラックだけで32あり、オケで10トラックという構成になっていました。リズムがないので、これですんでいますが、リズムが入るとさらにトラック数は増えますね。

--ボーカルだけで32トラックもあるってすごいですね。なんで、そんなにいっぱいトラックを使っているのですか?
ヒデオ:そこは、本当は企業秘密なんですけどね(笑)。実は、TINGARAサウンドの特徴は1つのメロディーに対して4つ重ねていることにあるんです。たとえば主旋律とコーラスが1パートあったとしたら、2×4=8トラック使うというわけです。だから、コーラスが複数パートあったりすると40トラック以上使うケースがあるというわけです。


組曲 ~命の森~
TINGARAサウンドの秘密は、1つのパートにつき4重録音で構成していること
--1つレコーディングしたものをバウンスして、エフェクト処理して……というわけじゃなく、同じパートを4回歌うってことですよね?ヒデオ:もちろん、そのとおりです。まあ、TINGARAに限らず、最近のレコーディングはダブルで録っているケースがかなり多いんじゃないかな?

--でも、なぜ4音なのですか?
ヒデオ:これは試行錯誤の結果なったものです。最初はシングルで録音し、次にダブルでやり、現在4つに落ち着いたんです。5音、6音にしたこともあるのですが、逆に芯がなくなってしまうため、4音がいいんだな……。もっとも、これは人によって違うだろうね。つぐみはソロボーカルとしてみるうと歌はうまい人じゃないんだけど、4つ重ねたときのキレイさ、透明さは群を抜いていると思いますよ。
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