レイテンシーとは?
まず、レイテンシーという言葉自体をご存知ない方もいると思いますので、簡単に説明しましょう。これは英語でLatencyと書き、直訳すれば「遅れ」です。何の「遅れ」かというと「オーディオインタフェイスでの音の遅れ」なのですが、それだけでは、よく分かりませんよね。これはPCがプログラムで音を出す命令を下してから、実際に音が出てくるまでの時間差を意味しているのです。
たとえばレコーディングしてあるデータを再生する場合、通常プレイボタンを押しますが、このボタンを押してから、音が鳴り出すまでの時間差ということになります。が、通常この時間差が気になるという人はいないでしょう。確かに押した瞬間には音は出ないのですが、CDでもMDでもプレイボタンを押してすぐに鳴るわけではないし、ここで問題が生じるわけでもありません。
再生時のレイテンシーと録音時のレイテンシー
入力のレイテンシーと出力のレイテンシーが存在する |
先ほどのように単純に再生するだけでは、問題にならなかったレイテンシーも録音が絡んでくるとちょっと気になります。そう現在のDAWソフトなどを使えば、誰でも簡単に多重録音ができますが、この際、通常はすでに録音した音をモニターしながら、別のパートを録音していきます。でも、ここにレイテンシーがあるとしたら、音がずれてしまうのではないかという心配がでてきます。
そもそも、このレイテンシーはオーディオインターフェイスによって、ずいぶんと差があります。古いオーディオインターフェイスだと、500msec、つまり0.5秒近い音の遅れが出るのです。さすがに、0.5秒も音がずれたら、どんな人にでも明らかな音の遅れとして分かってしまいます。電話でも、500msecもレイテンシーがあると、違和感を感じるほどです(電話の世界でもレイテンシーという言葉は使われるんですね)。
でも、ここはうまくできたもので、PC自体がオーディオインターフェイスにどれだけのレイテンシーがあるのかを認識することができるため、録音時にそのレイテンシー分だけ早めの位置にデータを書き込んでしまえばすべてが解決します。
たとえば再生、録音それぞれに500msecのレイテンシーがあるオーディオインターフェイスで、すでに録音したトラック1のデータをオーディオインターフェイスを経由させて、トラック2へダビングするとします。この場合、往復で1000msecつまり1秒のズレが生じてしまうはずですが、最初から1秒のズレがあることが分かっていたら、1秒前の位置に録音した結果を書き込むようにすれば、ドンピシャなタイミングで合うので問題ないわけです。