とはいえ、今さら昔のアナログの時代に戻れといっても無理ですし、アナログの機材は現在ではビンテージ品として珍重され、中古市場においてもかなり高値で売り買いされていて、ちょっと手が届かないというのが実態です。また、アナログシンセだけ触れば、今のシンセのすべてがわかるわけではなく、その後登場したサンプラーやドラムマシン、またエフェクトの数々などがトータルに分かって、はじめてシンセの世界の全体が理解できるというものです。
そんなシンセの世界の全体を見渡すことができるのが、このReasonというソフトなのです。これはソフトウェアながら、アナログシンセをはじめ、ドラムマシン、各種エフェクト、サンプラー、アナログシーケンサ、MIDIシーケンサ……といったさまざまなモジュールを完全にシミュレートし、その動き、そして音を手元のパソコンで再現してくれるのです。見た目上、ラックに各モジュールをマウントしていくことで使うわけですが、デザイン的にもかっこよく、使っていて楽しくなります。どれだけ多くのモジュールを同時に使えるかはパソコンのCPUパワー次第ですが、比較的軽い構造になっているため、非力なマシンでもかなりのことができてしまいます。
さらに、Reasonのすごさ、ラックの裏側をのぞくとよく分かります。そう、それぞれのモジュールが、ケーブルで接続されており、その配線によって音を変化させることができるし、その配線しだいで、音が出たり出なかったりするのです。ユニークなのは、その配線をすると、ケーブルが揺れたりするところまで表現していること。使っていて、本当にリアルな感じがするのです。もちろん、こうした配線を理解することも、シンセを理解する上で、非常に重要なことなのです。