DTM・デジタルレコーディング/デジタルレコーディング基礎知識

【オーディオ圧縮基礎講座】 MP3の正体とは?(3ページ目)

シリコンオーディオといわれるプレイヤーが普及し、ネット上でもデータのやり取りがされているMP3。実際使っている人も多いと思いますが、このMP3の正体って何なのでしょうか?

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

■MP3の音質は劣化しているの!?

よくMP3ツールのパッケージソフトなどには「CD音質を劣化なしにサイズを1/10に圧縮!」のようなことが書かれていますが、実はこれはウソです。そう厳密に言えば非可逆性の圧縮であって、音質も劣化しているのです。

ちょっと難しいかもしれませんんが、例を見てみましょう。上のグラフはオリジナルサウンドの周波数分析をしたもの、下のグラフはMP3サウンドの周波数分析をしたものです。これをみれば分かるように、MP3にすると高音が欠けていることが分かるでしょう。

では、MP3とは高音をなくすものなのかというと、そうではありません。非常によくできたアルゴリズムによって、人間に認識されにくい音を削っているのです。

高音は比較的気づかないものであるため、削られているのが顕著に分かるのですが、たとえば、同時にブラスとキーボードとベースとストリングスの音が出ている瞬間があったとして、このときストリングスの音がほかの音にかき消されてほとんど聞こえないくらい小さい音だとしたら、これを消すことによって、ファイルサイズを圧縮しているのです(正確には、このようなアルゴリズムではありませんが)。

試しに、自分のよく聞いている曲をMP3に変換して、それぞれを聞き比べてみてください。ちょっと聞いても分かりませんが、ヘッドフォンなどを利用して、よく聞いてみると、音色が微妙に変わって聞こえたりすると思います。これがMP3による音質劣化なんです。

ただし、MP3を生成するためのエンコーダーと呼ばれるものは、複数種類あり、そのエンコーダーによって音質も変わってくるし、ビットレートを変化させることでも音は変わってきます。興味があれば、いろいろなエンコーダーを試してみてはいかがでしょうか?
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