さて、ここでもう一つ気になることがあります。それは音源としての互換性についてです。
これまでサウンド・キャンバス・シリーズでは基本的に上位互換性を保ちながら進化してきており、SC-8850ならその前の世代のSC-88Pro、さらにはその前のSC-88、SC-55mkII、SC-55とどの音源のデータでも再現できるような設計になっていました。それに対し、SD-90はどうなっているのでしょうか?
結論から言ってしまうと、確かにGS音源としての互換性はありますが、完全に再現する互換性はありません。それは音色数がSC-8850より少ないことから見ても明らかでしょう。
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もう少し具体的にいえば、クラシカル、コンテンポラリ、ソロ、エンハンスドの4セットであり、それぞれブラッシュアップされたサウンドがそろっているのです。
とはいえ、もちろんGSとの互換性は保っているので、GS規格の範囲内での互換性はあるのです。ただし、前述したようにSC-8850やSC-88Proといった特定機種の固有の音色に対する互換性は持っていません。
そして、もうひとつ注目すべきは、GSの宿敵であったXGとの互換性を持たせたということです。製品にはXGのロゴまで入っているわけですが、正式にはXGそのものではなくXG lite Version 2.Oという機能限定版に対応しているわけですが、たいていのXGサウンドは問題なく動作してくれます。
以上の点をまとめると、SD-90は音源としては非常に優秀な高スペックであるが、音色数やパート数という面ではSC-8850に負けてしまう、ということです。すでにSC-8850を持っている人で、SD-90に乗り換えようと思っている人もいると思いますが、できれば完全に乗り換えるのではなくSC-8850も持ちつつ、SD-90を利用することをお薦めします。ふたつをうまく組み合わせたり、用途に応じて音源を分けて使うことによってDTMの領域がまた大きく広がっていきそうです。