『寺子屋』は『菅原伝授手習鑑』という長ーい義太夫狂言の一幕です。
<あらすじ>
武部源蔵と戸浪の夫婦は、京の郊外・芹生の里で寺子屋を開き、菅秀才、つまり菅原道真の息子を匿っている。だが道真を陰謀に巻き込んで都から追いやった藤原時平に知れ、秀才の首を差し出すように命じられている。その当日、舎人の松王丸の女房千代は息子の小太郎を連れて寺入りし、源蔵夫婦に預ける。源蔵夫婦はこの子を秀才の身替わりにすることに決める。
そこへ首実検にやってきた時平の家臣の春藤玄蕃と松王丸。見渡してみても寺子の中に秀才らしき秀でた子供は見当たらない。怪しまれ追及される源蔵は、ついに物陰で小太郎の首を打ち、松王の前に出す。源蔵は、事がバレれば松王たちと刺し違える覚悟をしていたが、意外にも松王は首実検して菅秀才に違いないといい、春藤玄蕃らも帰っていく。ホッと力の抜ける源蔵夫婦。
そこへ先ほどの千代が戻ってくる。そこへ松王も戻って、小太郎は秀才の身替わりとして寺入りさせたことを、源蔵夫婦に明かす。嘆き悲しむ千代をたしなめる松王。だが松王もついに号泣してしまう。秀才とその母・園生の前と、二組の夫婦は小太郎の野辺の送りをする。