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「改めてスゴい傑作だと実感した」 6年ぶりアマデウス市川染五郎(2ページ目)

歌舞伎に現代劇に映画に。市川染五郎さんの活躍ぶりに目が離せない。1981年トニー賞を受賞したP.シェファーの話題作『アマデウス』。日本では初演以来22年目、今回6年ぶりの上演だ。

執筆者:五十川 晶子


天才体験できる『アマデウス』
もちろんモーツァルト像にも新しいイメージが加わる。染五郎さんいわく、前回の公演ではあくまでモーツァルトは人間であって、結婚もし、人並みの幸せを手に入れたが、逆にそのことが神の気に染まず、神はモーツァルトから命を奪っていくというコンセプトだった。今回は最期の瞬間まで天才であるモーツァルトを目指すと染五郎さんはいう。では染五郎さんにとって「天才」とは?

「自分がやりたいと思うことがしっかりとあり、運と才能とそれを生かせる場所に恵まれていることかな」。それは染五郎さん自身のことじゃないだろうか。
「うーん。瞬間的には、”あ、オレこれできちゃったよ!”くらいは思うことはありますが、やっぱり憧れですね。でも、『アマデウス』をやると、この憧れが少し消えるんですよ」。
モーツァルトの天才ぶりを経験することで、満足感が得られるということなのだろう。それほど染五郎さんとモーツァルトが一体となっているとも言える。

では逆に、モーツァルトに嫉妬し殺意さえ抱くサリエーリについてはどんな風に思っているのだろうか。
「モーツァルトにしてみれば、自分の才能を理解してくれるほとんど唯一の人。でも自分がその立場だったらああはなりたくないですね(笑)。でも、たとえば女だったらモーツァルトのいい奥さんになれたのかなとか、マネージャーだったらよかったかもとか思いますし、年下ならモーツァルトに弟子入りすればよかったのかもと。でもそうはいかないからドラマになるわけですが」

幸四郎さんが主宰する梨苑座プロデュース『夢の仲蔵』シリーズ。ここにも成り上がりの実力派役者・中村仲蔵と、才能も生まれも恵まれた五代目市川團十郎というコンビが登場する。なにやらサリエーリとモーツァルトの関係を思い起こさせるが・・・。
「その通りです。父は『アマデウス』をヒントにこの基本線を作ったんですよ。父ですか? そりゃすごい人です。以前は、父は父、オレはオレ、と思いっていたんですが、最近は、素直にやっぱりすごいなと思いますね。ただ、同じようなことをやりたいと思うわけでもないし、やりたくてもできるわけじゃない。反対に自分にしかできないこともあるなと思うことも出てきました。ただ、父の芝居や稽古に臨むその姿勢には、ほんとにスゴいものがあります。自分が得てきたことを惜しみなく稽古場で出してくれる。僕は今、幸せな空間にいるなあと、つくづく思いますよ」





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