歌舞伎/歌舞伎関連情報

作家・近藤史恵さんにインタビュー 江戸時代にタイムスリップできる(2ページ目)

ミステリー作家の近藤史恵さんは、歌舞伎ミステリーとでもいえる作品をいくつか執筆しているだけあって大の歌舞伎ファン。歌舞伎への思い入れや知識が随所に詰め込まれています。

執筆者:五十川 晶子



「小菊」という女方のキャラクターが設定される経緯を教えてください。

「歌舞伎役者の名探偵なら、戸板康二さんの中村雅楽というお手本があって、どうやってもそれに勝てるわけがないから、だとしたらワトスン役を歌舞伎役者にしよう、と。それも大部屋役者だったら、読者も感情移入しやすいのではないかな、と思いました」。

歌舞伎のジャンルでのミステリを書かれる際、いろいろな文献や資料を使われることもあるかと思います。たとえばどのようなものを使われますか?

「演劇界のバックナンバーは役に立っています。写真が載っているので、衣装の描写などもしやすいし。あとは東京創元社の歌舞伎名作全集なども離せません。それと、あまり知られていないのですが、国立劇場の資料室で、過去の演目のビデオが見られるんです。演劇関係者優先なので予約が取れない場合もありますが、ここで必ずビデオを見ます」。

執筆のために役者さんや劇場など取材することはありますか。

「劇場に関しては、『散りしかたみに』を書いたときに、ゆっくり中を見せていただいて、取材させていただきました。役者さんについては、贔屓の役者さんの楽屋を訪問したとき、ちょこっと質問したりする程度です」。

登場人物には、実際の役者さんをモデルとして想定されることもあるのではと思います。たとえばどのように想定されますか? 

「ひとりの役者さんを、そのままひとりの登場人物に想定することはありません。ある役者さんの魅力みたいなものを膨らませて、別の登場人物を作ったりする感じですね」。

最新刊の『桜姫』では、トリックとそれにまつわる動機と、両性具有の美を持つ役者達の存在そのものが渾然とクロスしあう面白さを感じました。

「『桜姫』はかなり時間のかかった作品です。歌舞伎ミステリに関しては、歌舞伎を見ているときに、ふっと思い浮かぶことが多いですね。この演目を現実に当てはめたら、どうなるのだろうとか」。

ミステリだけでなく、歌舞伎の世界の人情物なんてのを書かれる予定などありませんか。

「現代物ではありませんが、幻冬舎文庫から出ている『猿若町捕物帳』のシリーズでは江戸歌舞伎の世界を描いていきたいです。『青葉のころは終わった』という青春ミステリが、秋頃光文社から刊行になる予定です。あとは、『猿若町捕物帳』の第二弾『ほおずき地獄(仮題)』が、これも秋に」。

参考までに。(筆者はひどい肩こり持ちなんですが)肩こり解消法でよいものがあったら是非教えてください。

「QPコーワiを常用して、つらいときには漢方の葛根湯を飲んでいます。あとは自分の手で頭・首・肩をマッサージ。グッズとかもいろいろ試したのですが、これがいちばん効果があるようです。ひどいときにはプロの手にかかるしかないんですけどね」。



プロフィール
近藤史恵(こんどうふみえ)
69年大阪生まれ。大阪芸術大学文学部卒業。平成五年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞。著書に『カナリヤは眠れない』『散りしかたみに』他。

<関連サイト>
近藤史恵さんのサイト

桜姫

散りしかたみに

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