たとえば、森口博子の場合は19才の昭和63年のアイドル時代に出版した『フレッシュスコラ14』(講談社スコラ 1,500円)は、2~3年定価ベースで推移したあと彼女がバラドルとして路線変更し『夢がMORI MORI』などでテレビメディアへの露出がピークに達すると195,000円という記録的なプレミア価格を達成している。
プレミアがつく写真集にはもうひとつの共通点がある。たとえば、買い手と売り手のスムーズなマッチングをモットーとする楽天系のEasySeekでざっと検索してみると、紺野美沙子『うさぎ恋し』(小学館 1984.2.25)、財前直見『とってもいいよ!』(ワニマガジン 1988.11.20)、酒井法子『夢冒険』(学研 1988.1.1)、古手川祐子『古手川祐子写真集』(ワニブックス 1981.5.1)、田中美佐子『別冊スコラ6 田中美佐子写真集』(講談社スコラ 1983.6)などなど数万円の値が付いている商品が多々ある。
これらのプレミア写真集のキーワードは30代である。つまり現在30代の世代が青春時代を送った日々にリアルタイムだったアイドルやタレントの写真集の中に値段が飛び上がるものが多い。
日本の消費のメカニズムをみても明らかな事だが30代というのは、一番自分自身の趣味や自由にお金を消費できる世代なのだ。20代ではまだまだ資金的に余裕がない場合が多く、40代になると子供の学費や住宅ローンなど支出がかさむ。50代以降はまだ、アイドル文化が定着しきっていない。コレクトするためにお金に糸目をつけないのである。また80年代のアイドル全盛期と青春時代がぴったりあてはまるのも現在30代近辺の層である。アイドル文化に抵抗なく浸透しやすい世代でもある。
この論理というか方程式がこのまましばらく当てはまるとすれば、今後プレミアが上昇しはじめるのは現在20代の男性の青春時代、つまり10年さかのぼったあたりのアイドルの写真集で露出が高く現在タレントとして活動していて、冊数が少ないものだ。
今後どんな写真集のプレミア化が予想されるだろうか? 刷り部数は把握できないだろうから、露出度が高く、将来人気の出そうな何か“!”とくるものを感じとって先物買いするしかないのである。こうしてグラビアハンター達の飽くなき戦いは続いて行く。
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